美しき鷹
劇場公開日:1954年2月10日
解説
「次郎長三国志 第七部 初祝い清水港」のマキノ雅弘が、同じく「次郎長三国志 第七部 初祝い清水港」の小国英雄がものしたオリジナル・シナリオにより監督する作品で、撮影も「次郎長三国志 第七部 初祝い清水港」の飯村正、音楽は「娘十六ジャズ祭」の大森盛太郎。出演は「次郎長三国志 第七部 初祝い清水港」の越路吹雪、「今宵誓いぬ」の若原雅夫、「鯉名の銀平(1954)」の田崎潤、「魅せられたる魂」の津島恵子、「続々魚河岸の石松 大阪罷り通る」の河津清三郎などである。
1954年製作/88分/日本
劇場公開日:1954年2月10日
ストーリー
明治三十二年頃、北海道函館港での出来事。この土地で新聞記者をしている柏町弘之は、小学校時代からの親友で青函連絡船の三等航海士をしている九里万作に容易ならぬ決心を打明けた。鉄砲横丁と呼ばれる淫売窟の女タカ子と一緒になるため、彼女を連れて東京へ逃げるというのだ。命しらずのヨタ者葉山健二が眼を光らせているこの横丁から逃げだすには想像できぬむずかしさがある。九里は女の名も知らずに彼女がいるという鉄砲横丁の“白百合”に登楼したい丁度そのころ、タカ子に惚れこんでいる葉山が、彼女をものにしようと凄みをきかせていたが、鉄火なタカ子は金さえ払えば自由になってやると啖呵を切っていた。一方この店に売られてきた雁金スミエは客取りを拒みつづけていたが、虐待に抗しきれず、初めて客をとることになったが、それが九里であった。九里はスミエの肌に残る無残なムチの跡におどろいた。九里の手にも、かつて船のロープに足をとられた鷹を逃してやったときにつけられた大きな傷跡があり、そんなことが二人を近づけた。スミエを柏町の女と思いこんだ九里は、彼女を救おうと決心し、夜にまぎれて外へ逃出したが、それを聞いた葉山は子分をつれて二人を追った。川にもやっている和船に一度はかくれた二人だったが、追跡の手はそこまで延びてきた。二人は心中とみせて川へとび込み、わずかに追跡をのがれ、新しい生活を目ざして、第一歩を踏み出すのだった。