セロ弾きのゴーシュ(1982・人形劇)
解説
今年、死後二十年にあたる宮澤賢治の童話の、さくらカラーによる日本初の色彩人形劇映画で、高村光太郎、草野心平、宮沢清六ら「宮澤賢治の会」のメンバーが指導協力している。脚本は田中澄江(獅子の座)、川尻泰司の共同担当。演出は「むぎめし学園」の森永健次郎が川尻泰司と共同して当る。撮影は「紅涙草」の柿田勇。尚、美術を人形劇団プーク、色彩監督を日本色彩映画の小林行雄が担当している。
1953年製作/45分/日本
ストーリー
東北の小さな町はずれ、小川の畔の古い水車小屋。これがゴーシュの家である。彼は金星楽団のチェリストで、いつも楽長に叱られてばかりいる。金星楽団は発表会にベートーベンの第六交響曲“田園”を演奏するため、夜は町の映画館で奇術の伴奏をし、昼間はそこで練習していた。この館の山猫支配人は商業政策上、金星楽団を追い出し、替りに卑俗なレヴュウ団を入れたので、楽団一同は馬小屋で練習する。ゴーシュは家に帰ってからも遅く迄必死に練習する。もぐら、リス、猫、郭公子狸等いろいろな動物が訪れて、ゴーシュは激励され、教えられるが、昼間は相変らず楽長に叱られるので気持が砕けそうになる。しかし嵐の夜やって来た鼠母子に彼のチェロは、近所の動物達の身体を温め病気もなおす力のある事を知らされ、元気づけられる。演奏会の日、金星楽団の“田園”は満場の拍手をうける。ゴーシュの上達ぶりに、楽長は彼をアンコールに押しやる。ゴーシュは自作の曲「印度の虎狩り」を弾き、激しい拍手に包まれる。水車小屋に帰ったゴーシュは、今更のように、動物達のことを思い浮べた。