抱擁(1953)
劇場公開日:1953年3月11日
解説
製作は「吹けよ春風」の田中友幸、八住利雄の原案によって、「激流(1952)」の西亀元貞に梅田晴夫が協力して脚本を書いている。監督は「次郎長初旅」のマキノ雅弘。撮影の飯村正及び配役中の三船敏郎、小泉博は「吹けよ春風」、山口淑子は「風雲千両船」に次ぐ作品である。
1953年製作/87分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1953年3月11日
ストーリー
雪に閉された山奥の山小屋で、素朴な営林技師の伸吉と、吹雪の中に行き倒れた旅の女の娘雪子との清純な恋がはぐくまれた。若い二人が結婚によって結ばれようと決心したとき、伸吉は雪子へのプレゼントに谷間へ黒百合を摘みにおりて雪崩に逢い死んでしまった。傷心を抱いて東京へ出た雪子は「山小屋」という酒場で働いた。ここの常連の若く貧しい芸術家たちにいつしか彼女をとり巻くグループが出来、その一人の詩人クロちゃんは雪子に失恋して自殺した。雪子が東京へ出て二年目のクリスマス・イブに、彼女は或るナイト・クラブの歌手になっていたが、そこへ仲間の追跡をのがれて逃げ込んで来たギャングの早川が、死んだ伸吉に生き写しなのに、雪子は激しい胸のときめきを感じた。彼女の機転でその場をのがれた早川も、仲間に追いつめられて遂にその一人を射殺してしまった。雪子はその早川と一日でも一緒にいたいと願って、二人は雪の山小屋へ逃れた。雪子のひたむきな愛情にこたえて早川も固く彼女を抱きしめた。こうした二人の幸福も長くはつづかなかった。追手の警官隊をのがれた二人は大雪の谷底へまでにげのびたが、遂に大雪崩の下敷となって果てた。