今日は会社の月給日

劇場公開日:

解説

栄田清一郎の企画で、「大空の誓い」の宮田輝明に井上薫が協力して脚本を書いている。監督は「いとし子と耐えてゆかん」の中川信夫、撮影は「母の罪」の西川庄衛である。出演者は「結婚案内」の伊豆肇、「泣虫記者」の利根はる恵、御園裕子、殿山泰司、「現代人」の多々良純などが主なものである。

1952年製作/70分/日本
配給:東映
劇場公開日:1952年10月2日

ストーリー

赤羽建設株式会社では今日が月給日である。会計主任の町田一夫は列をなしている社員にそれぞれ月給袋を渡しているが、会社の廊下にはその袋を目当ての借金取りが群れをなしている。町田君の月給袋だってその同じ運命にさらされているが、彼は日頃想いをかけている万里を勇敢にも誘って見た。しかし万里は専務との先約があるといって冷たい。その専務は社長から二百万円を某省の小石局長へとどけることを命じられるが、この役目を町田君に押しつけて万里とどこかへ消えてしまった。町田君は失意の彼を慰める同僚の木下やタイピストの洋子さんとのささやかな会食も出来ず、二百万円入りの鞄をかかえて自動車に乗った。が、やがて町田君の顔は次第に輝いて来た。彼はまず質屋の叔父さんのところへ乗りつけ、質屋をすっかりうけ出し、ついでに五千円で家の前に飾ってある大狸の置物を買いとってぶっこわし、アパートへ帰ってたまった部屋代をすっかり払うと同時に、月賦屋の親爺に福を持って行かれようとしている同僚の借金を払ってやり、更に走る自動車のなかに専務と万里をみつけて、そのあとから追い、驚く専務を尻目に、万里に毛皮、宝石、靴、香水と何でも買ってやった。それで鞄は空っぽになったが、万里は更にピアノを買ってくれとねだる。万事窮す。とたんに町田君の夢はさめ現実の彼は忠実に役目を果して、一人淋しくアパートへ帰った。しかしアパートには洋子さんが、夕食を作って待っていてくれた。彼が就職を世話したお礼だという。洋子さんは十七才。五年経って二十二才。その頃は町田君も多分課長級になれるだろう。町田君は心たのしく洋子さんと夕食後の散歩に出て行った。

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