青い指紋
劇場公開日:1952年5月15日
解説
本格的な犯罪ドキュメンタリーを意図したもので、警視庁の後援によるものである。製作は上島雅文、小山誠治、演出は青戸隆幸が当たっている。脚本の長谷川公之は千葉医大出身の警視庁鑑識課員で、「東京のヒロイン」を書いた変わり種のシナリオ作家である。
1952年製作/64分/日本
劇場公開日:1952年5月15日
ストーリー
大東京の深夜--警視庁司令室に突如「世田谷上馬町に強盗が……」との電話がかかってきた。司令室からは直ちにその方面のパトロールカーへ、現場付近を捜査するようにと指令が出された。パトロールカーが現場付近へ到着すると、警官たちは直ちに被害者山本一郎の家を捜査したが、これは強盗殺人事件であった。つまり、山本が電話の下に受話器を握ったまま倒れており、その妻が別室で心臓を刺されて既に事切れていたのである。検察庁からは検事、鑑識係員等が派遣されたが、わずかに三、四本の毛髪が発見されただけであった。保田刑事は「犯人は流しでなく、カンがあると思う」と述べた。そして現在実家に帰っている小川さきという女中に出頭してもらった。金の無心で時々山本家に出入りしていたという兄にはアリバイが成立し、腕時計が盗まれていることが分かった。一方、保田刑事は現場付近で拾った油差しを手がかりとして捜査に励んだが、その油差しを盗まれたという輪タク屋に出会った。山本が時計を修繕に出した時計屋が突き止められ、保田刑事は被害者宅の塀の隅に貼られたチューインガムを発見した。しかし、これらからも格別な手がかりは得られなかった。--こうして事件が徐々に迷宮に入るかと思われた時、折も折、月島で自動車強盗殺人事件が起きた。運転手が首を絞められた手ぬぐいについていた青い粉は、鑑識の結果玉突きに使用するチョークの粉と分かり、同時に車内に落ちていたマッチから手がかりを得て、神楽坂のヨタ者の新ちゃんを犯人として挙げることができた。