息子の花嫁
劇場公開日:1952年3月14日
解説
製作は「霧笛」の田中友幸。宇野信夫作の『春の泡雪』より「結婚行進曲」の井手俊郎が脚色し、「三太物語」の丸山誠治が監督に当たった。撮影は「女ごころ誰か知る」の中井朝一。出演者は「ラッキーさん」の小林桂樹、杉葉子、井上大助、千石規子、「慶安秘帖」の藤原釜足、「青春会議」の三宅邦子、それに森繁久彌、飯田蝶子などである。
1952年製作/88分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1952年3月14日
ストーリー
東京の下町、女房に死なれた佐吉と息子の佐太郎父子は、小さな自転車屋を営んでいた。ずっと息子可愛さに男やもめを通して来た佐吉は、後妻をと八百屋の千造や近所の娘芳子らにすすめられるが、本人は気乗りしない。横町の毛糸屋の娘君子は佐太郎と相思いの仲だが内気な二人は口に出して言えず、たまたま佐太郎によそから縁談が持上がったので驚いて、二人は佐吉に打ち明けて結婚した。佐吉は息子夫婦のあたたかい思いやりで遊んで暮らせる身分になったが、何か寂しいおもいで、飲めない酒を飲んで酔って帰って来ることもあった。佐吉の心を察した千造は、彼を無理に炭屋の娘律子と見合いさせた。彼女は母親かつとの二人暮しで、佐吉はそこへ婿入りすることになった。だが婿入りした佐吉は幸福ではなかった。かつは評判の強欲婆さんで、佐吉はつめたい仕打ちをいつもうけた。これを知った千造は佐吉をなぐさめにくるが彼は相手にしなかった。そして千造のおいていったウィスキーでしたたか酔い、一時に憤悶を爆発させて大暴れのすえ、飛び出して息子夫婦のところへ帰ってきた。まちがお祭りでにぎあっている日、いまはすっかり後悔した律子は佐吉のもとを訪れたが、彼の心は動かなかった。だが律子の誠意だけは佐吉父子にも通じたことだろう。