波(1952)
劇場公開日:1952年4月3日
解説
「カルメン故郷に帰る」に次ぐ、高村大船撮影所長自らの製作。原作はかつて朝日新聞に連載された山本有三の小説で、大木直太郎が潤色、「夢と知りせば」の中村登が脚色・監督に当たっている。撮影は常に中村監督とコンビの生方敏夫である。出演者の主なものは、「夢と知りせば」の佐分利信、「本日休診」の淡島千景、「とんかつ大将」の津島恵子、「若人の誓い」の桂木洋子、「命美わし」の笠智衆。市川笑猿、改め岩井半四郎、石浜朗、村瀬禪、設楽幸嗣の少年たちなどである。
1952年製作/108分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年4月3日
ストーリー
見並行介は、芸者に売られた昔の教え子きぬ子が堪えきれなくなって逃げ込んで来たとき、いじらしく思い彼女と結婚した。が、間もなくそのきぬ子が瀬沼涼太郎に誘惑されて家出したとき、その家へまで行ってきぬ子を連れ戻した。行って見たらきぬ子が少しも幸福ではなかったからだった。やがてきぬ子は妊娠し、出産後の余病がもとで死んでしまった。行介は残された子供駿を野々宮昂子の許へあずけて養育を托した。昂子も過去に不幸な傷を持った女性だったが、行介は育ち行く駿を見る度に、それが果たして自分の子供かどうかという疑問にさいなまれた。そして、野々宮家に出入りしているうちに、昂子に好意を持ちながら、浮気な妹の襲子の誘惑に負けて過ちを犯した。行介が転任するため駿を引取りに行ったとき昂子から愛をうち明けられるが襲子とのことがあって、その愛を受け入れられぬままに別れてしまった。やがて行介の駿への愛情は、かつての疑惑の影を薄め、彼が立派な人間になってくれることを念ずるばかりであった。新制高校生となった駿が、学校で小さな恋のトラブルを起こした注意を学校から受取ったとき行介は、寄せては打ちかえす人生の波を感じた。その時、昂子が突然訪ねて来て、知人の秘書となって外国へ行くという。希望をもてという昂子の言葉に、その夜行介は駿をしみじみとさとし、駿も父の温かい言葉に泣き伏した。翌朝、むつまじく父子は浜辺へ出て海をながめた。「昂子おばさん、きっと帰って来るね」という駿の言葉に行介も深くうなずくのだった。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第5回 カンヌ国際映画祭(1952年)
出品
出品作品 | 中村登 |
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