素晴らしき遺産
劇場公開日:1960年5月14日
解説
藤田敏夫の原作を、「刑事物語 銃声に浮かぶ顔」の高橋二三が脚色し、「闇に光る眼(1960)」の春原政久が監督した喜劇。撮影は「今夜の恋に生きるんだ」の柿田勇。
1960年製作/53分/日本
配給:日活
劇場公開日:1960年5月14日
ストーリー
林田質店の主人万次郎の頭痛の種は子供たちのことだ。長女文子はお花の稽古そっちのけでお師匠さんと花札摶打に熱中。次女の短大生マチ子は家財道具を自分の店に質入れし、スケート場通い。次男の大学生辰次はスピード狂。これというのも万次郎のケチン坊が原因。そのケチ親爺が女を囲っているというので大さわぎ。以前店で働いていた光江だった。唯一人の親孝行な長男信一に店を継がせて、万次郎は隠居する計画だった。その信一が山で遭難してしまった。その頃、子供たちは小遣い稼ぎをはじめた。マチ子は番頭の常どんから借りた金を元手に学校で“カネカルチョ”をはじめた。文子は店の稼業に精出し、辰次は質草の自動車で白タクをはじめた。万次郎も至極御満悦。光江が子供を産んだ。万次郎の喜びも束の間、その子は常どんの子供だった。常どんは文子と結婚して、店を継ぐ野心を持っていた。そこで熱心に光江をなだめ、文子に強引にプロポーズした。ところが万次郎が交通事故で急死、すべてはオジャン。葬式の日、テープレコーダーに吹きこんだ遺言に、みんなはカタズをのんで聞きいった。全財産は信一の名儀で山岳遭難救助連盟に寄付し、店と営業資金だけが残された。常どんの光江の件がバレて文子は大むくれ。やけくそになった辰次がすてた吸ガラがガソリンに引火して、一瞬のうちに店は丸焼け。焼跡に立った子供に万次郎の声が聞えてきた。--自分の力で生きるんだ……ハッと気がつく文子、マチ子、辰次、常どん……。みんなで力をあわせて林田質店再興を誓いあった。