娘・妻・母

劇場公開日:

解説

山の手の中流家庭を舞台に、各世代の女の姿を描いたドラマ。「新・三等重役 当るも八卦の巻の巻」の井手俊郎と、「予科練物語 紺碧の空遠く」の松山善三の共同脚本を「女が階段を上る時」の成瀬巳喜男が監督した。撮影は「羽織の大将」の安本淳。

1960年製作/122分/日本
原題または英題:The Sea of Erab
配給:東宝
劇場公開日:1960年5月28日

ストーリー

東京、山の手の代々木上原あたり。坂西家はその住宅街にある。一家には、六〇歳になる母親あきを中心に、会社では部長の長男勇一郎と妻の和子、その子の義郎、それにブドウ酒会社に勤める末娘の春子が住んでいる。また商家に嫁に行った長女の早苗が、夫、姑との仲がうまくいかず遊びに来ていた。早苗はこの里帰り中事故で夫に死なれ、毎月五千円の生活費を入れて実家に住みつくことになった。勇一郎は、家を抵当にした金で町工場をやっている和子の叔父に融資し、その利息を生活の足しにしていた。更に五十万円を申しこまれ、その金の用立てを早苗に頼んだ。彼女は承諾した。ある日、早苗、春子に、次男の礼二と妻の美枝らは甲府のブドウ園に遊んだ。案内は醸造技師の黒木、彼は早苗に好意以上のものを感じた。東京へ戻って、早苗は母の還暦祝の品物を買いに銀座へ出た。学友の菊に誘われて入ったフルーツパーラーで、彼女の知り合いという五条に紹介された。身だしなみのいい中年の紳士だった。還暦祝いの日、黒木から早苗に電話があった。二人は上野の美術館に行った。帰り、黒木は早苗に接吻した。勇一郎は金を貸した鉄本が行方をくらましたのを知り、青くなった。坂西家は家族会議を開いた。母親にも内証で家を抵当に入れた勇一郎は弟妹に責められた。礼二も春子も分配金が貰えないので、老後の母を誰が面倒をみるかという話にまで進んだ。早苗はズバズバいう弟妹たちが悲しかった。彼女はあきに、母を引きとっても結婚したいと申しこんできた五条の許へ再婚する気持を打ちあけた。早苗は黒木を呼びだし、別れた。しかしあきは養老院へ入院手続きをしていた。郵便箱に「緑ケ丘老人ホーム」の封書を見た和子は、それをポケットにしまった。家族会議の夜に勇一郎に言った「あなたのお母さんだとばかり思っていたから、心の中にわだかまりがあったのよ、赤の他人だと思えばかえってうまくやっていけるんじやないかしら」という言葉を、和子は再びかみしめるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

0.5最初から金の事ばかり。

2023年12月28日
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マサシ

5.0成瀬映画を明るく照らす二人の天使

2023年8月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

序中盤、それぞれの家庭事情や暮らしぶりの描写、同じ家の中で別の部屋にいる時の母と娘、妻と夫、それぞれの場面がカットを切り替えて丁寧に描かれていて、ずっと見ていられるような幸せな時間だった。

還暦祝いに作成したホームビデオの中で、早回しで洗濯や掃き掃除をするデコちゃんを見て皆が笑うシーンはもう最高だった☺️
役者それぞれが個性を出していた中で抑え気味のデコちゃんの芝居が印象的だった。

「東京物語」を思わせる、親に対して他人の様に冷たい息子・娘たちの中で唯一天使のような原節子という家族の物語。と、言いたくなるが、残酷な現実を見せつつも、キャメラの視線は決して冷たいものではなく、写す人物それぞれの事情や心情を丁寧に汲み取っていたと思う。
還暦祝いに皆がそれぞれのプレゼントを用意して渡す場面や、嫁に家出をされて酔って母親に甘えたりする場面など、息子・娘として母親に接する温かい家族の描写もあり、親に対して子供たちが持つ二面性がクッキリと現れていて、家族の複雑な関係が立体的に描かれていたと思う。

ラストシーンにふと登場する、子供に疎まれながらも健気に生きる老人(笠智衆)は後光がさすかのように輝いていた。老人ホームで楽しそうに過ごす老人達など、人それぞれの幸せの在り方を示すラストは素晴らしかった。「東京物語」の無常観とは違った、人生の奥深さと味わいを感じさせてくれる作品でした。

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抹茶

3.5都合の悪いことが起こると見える家族の関係がうまく描かれている良作。

2021年12月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

都合の悪いことが起こると見える家族の関係がうまく描かれている良作。

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Mr. Planty

4.0高度成長期における家族の絆

2021年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 最後に笠智衆が出てきたときには心が和んだけど、それまでは自分の家族やら兄弟、親戚の顔が思い浮かんでしまい・・・

 財産分けを相談するシーンは最初に原節子が戻ってきたとき、融資の失敗が表面化したときの2度あるが、態度が変わらないのは三女の団令子だけ。それでも家族それぞれで独立することを提案していたけど、三益愛子ばあちゃんだけが置いてけぼり。原節子には仲代達矢という恋人誕生か?!と思った直後だったにもかかわらず、母親も一緒に引き取ってもかまわないという条件の京都の見合い相手・上原謙を選んでしまう。ちょっと涙が出てきたぞ。ボソっと喋るだけの仲代達矢だったけど、さすがに母親までをと考えるとなぁ・・・どうだったんだろ。

 家族の絆。けっこう脆いものだったりするけど、高度成長期にさしかかった時代なので皆たくましくも思える。ユーモアある台詞もある割には小津作品とは違い、かなり深刻さとか醜さまでも強調されていたかもしれない。

 甲府へのピクニックを8ミリで撮ったりする場面もあったけど、映像はプロ並み。まぁ、次男の宝田明がカメラマンだったせいもあるけど・・・

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kossy

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