劇場公開日 1960年5月28日

「高度成長期における家族の絆」娘・妻・母 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0高度成長期における家族の絆

2021年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 最後に笠智衆が出てきたときには心が和んだけど、それまでは自分の家族やら兄弟、親戚の顔が思い浮かんでしまい・・・

 財産分けを相談するシーンは最初に原節子が戻ってきたとき、融資の失敗が表面化したときの2度あるが、態度が変わらないのは三女の団令子だけ。それでも家族それぞれで独立することを提案していたけど、三益愛子ばあちゃんだけが置いてけぼり。原節子には仲代達矢という恋人誕生か?!と思った直後だったにもかかわらず、母親も一緒に引き取ってもかまわないという条件の京都の見合い相手・上原謙を選んでしまう。ちょっと涙が出てきたぞ。ボソっと喋るだけの仲代達矢だったけど、さすがに母親までをと考えるとなぁ・・・どうだったんだろ。

 家族の絆。けっこう脆いものだったりするけど、高度成長期にさしかかった時代なので皆たくましくも思える。ユーモアある台詞もある割には小津作品とは違い、かなり深刻さとか醜さまでも強調されていたかもしれない。

 甲府へのピクニックを8ミリで撮ったりする場面もあったけど、映像はプロ並み。まぁ、次男の宝田明がカメラマンだったせいもあるけど・・・

kossy