勝利と敗北

劇場公開日:

解説

須崎勝弥・井上梅次の脚本を「嵐を呼ぶ楽団」の井上梅次が監督したボクシシグ映画。「貴族の階段」の中川芳久が撮影した。

1960年製作/116分/日本
配給:大映
劇場公開日:1960年4月27日

ストーリー

全日本ウェルター級チャンピオン・佐々木が突然引退声明をした。ために早急に次期チャンピオンを決定しなければならなくなり、各ジムから挑戦資格者が続続名のりをあげた。最有力な峰岸ジムではその推薦をめぐって一つの争いが起きた。峰岸は最初からボクサーとしては盛りをすぎた年齢ではあるが、ランキング一位にある山中を推すつもりだった。が峰岸のジムにはノックアウトキングという異名をとり学生からプロ入りした旗がいた。彼は自分の実力が認められないのを不満に思い峰岸のジムを飛びだした。暗黒街のボス郷田は、旗を自分の息のかかった松田ジムに引取った。旗は近藤ジムの吉川と闘うことになった。この勝負に勝てば一位の山中に挑戦することになる。吉川は山中の妹葉子の愛を得るためにどうしても勝ちたかった。が、激しい練習で右手を負傷した。試合は最初から旗の一方的な優勢のうちに進められた。しかし、最終回吉川のアッパーカットがきき旗はダウンを喫して引分けとなった。その後、吉川はオートバイを飛ばしすぎて足を折った。旗が一位の山中に挑戦することになった。旗も峰岸にさとされ、フェアな拳闘に対する気持ちをもち始めていた。峰岸は郷田の手から旗を取り戻さねばならぬと考えたが、金を積めと要求された。恋人の小夜子が、結婚を迫る実業家から金を借りて峰岸に用立てた。小夜子は峰岸に心の中で訣別をした。峰岸は旗を近藤ジムに托し、自分は山中に全力を傾けた。試合当日、山中と旗はリングに上った。激闘。遂に旗が勝った--。

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映画レビュー

4.0関わる者全ての人生を鷲掴みする目眩く拳闘の世界...  追う者と追われる者の相克を見つめる青春譚の背後に大人の悲恋が匂い立つ群像劇傑作映画!!

2023年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 2023年4月の日本映画専門チャンネル"蔵出し名画座"放映にて鑑賞。
 巨匠・井上梅次監督が脚本も担ったボクシング映画で、肝心の拳闘シーンの迫力や若い男女の愛憎劇にそのケレン味が遺憾無く発揮されつつも、ボクシングに青春を捧げる若者たちの前途のために己が人生を捧げる大人たちの哀愁を帯びた姿がグッとくる秀作です。
 試合としての勝敗はキッチリ厳格に映しつつも、人としてあるいは生き方として誇れるのは如何なるや、というヒューマニズムが横溢しており、古臭さは無きにしも非ずですがこの大上段な朗らかさはやはりクラシック映画ならでは、と思える一本。
 後の探検隊隊長である川口浩さんと特命刑事の本郷功次郎さんが演じるピークを過ぎた熟練と血気盛んな若手との対比がビビッドですが、一方で彼らを我が子のように育て鍛えるジムのオーナーの山村聰さんとバーのマダム新珠美千代さんとの想い合うも決して結ばれない大人の純愛が切なく響くところで…。
 中盤のステレオタイプな青春映画スタイルとラストの絵に描いたような大団円は好みの分かれるところですが、それも往年の娯楽映画の懐の広さと感得できる名編でありました。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

4.5日本が誇って良い拳闘映画(若尾文子出演作)

2023年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

久しぶりに観たら、日本が誇ってよい拳闘映画の佳作だった。

初見のシネマヴェーラ渋谷(2018年2月26日)では「若尾文子出演作」として観たので「自分が生まれる前の若尾文子をカラーで見られて綺麗。でも出番少ない…」の微妙な感じだったが、BS日本映画専門チャンネル【蔵出し名画座】で放映されたので「もう一回観てみるか…」というニュートラルな立ち位置で見たところ、とんでもなく面白かった! そして感動した!

1960年の「拳闘映画」である本作、知らないボクサー同士の拳闘場面から始まる。そしてチャンピオンが突然引退発表して王座空席となったことから、チャンピオンを目指す3人のボクサー(川口浩、本郷功次郎、三田村元)のドラマ、それぞれのジム会長どうしの思惑・駆引き物語、恋人たちとの思いなどが描かれている。
様々な視点でのドラマの絡み合いが絶妙で、まったく飽きることなく楽しく観られる映画となっている。井上梅次監督の手腕が光る。

川口浩の恋人役は若尾文子(小学校教師)…何度も恋人役している定番ww…、本郷功次郎と三田村元の狭間で心揺れる野添ひとみ、ジム会長=山村聰を思うバーのマダムが新珠三千代(東宝)などだが、こうした関係が「横関係だけでなく、縦関係としても描かれた映画」なので面白い!
とりわけジム会長=安部徹の「悪役的だが【粋】なあたり」には感動。

物語詳細は割愛するが、この時代(1960年頃)は「テレビを見るのも一苦労」だったようで、若尾文子が川口浩の拳闘試合を白黒テレビで見ている喫茶店では他の客にチャンネル変えられたため町中でテレビを見られる店を探しまわる。また、野添ひとみはテレビでなくラジオで拳闘中継を聞いていたりする。

二度目の鑑賞で「えっ!」となったのは、本郷功次郎が野添ひとみにビール口移し場面では思わず笑わせられて、新珠三千代が山村聰に「(お金の工面するかわりに)私を抱いて」という場面は色っぽ過ぎ……(笑)

なかなか盛りだくさんのエピソードが楽しめる面白い大映映画であった。

<映倫No.11645>

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たいちぃ

3.0拳闘

2023年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ボクシングのウェルター級チャンピオンが引退、空位となった座を争うことになる。
ひょんなことから同じジムのベテラン(川口浩)とやんちゃな新人(本郷功次郎)が戦うことになる。
これにジムのボクサー争奪戦が加わり・・・。
ボクシングと言うセリフが出てこないボクシング映画。

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いやよセブン
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