劇場公開日 1960年4月27日

勝利と敗北のレビュー・感想・評価

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4.0関わる者全ての人生を鷲掴みする目眩く拳闘の世界...  追う者と追われる者の相克を見つめる青春譚の背後に大人の悲恋が匂い立つ群像劇傑作映画!!

2023年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 2023年4月の日本映画専門チャンネル"蔵出し名画座"放映にて鑑賞。
 巨匠・井上梅次監督が脚本も担ったボクシング映画で、肝心の拳闘シーンの迫力や若い男女の愛憎劇にそのケレン味が遺憾無く発揮されつつも、ボクシングに青春を捧げる若者たちの前途のために己が人生を捧げる大人たちの哀愁を帯びた姿がグッとくる秀作です。
 試合としての勝敗はキッチリ厳格に映しつつも、人としてあるいは生き方として誇れるのは如何なるや、というヒューマニズムが横溢しており、古臭さは無きにしも非ずですがこの大上段な朗らかさはやはりクラシック映画ならでは、と思える一本。
 後の探検隊隊長である川口浩さんと特命刑事の本郷功次郎さんが演じるピークを過ぎた熟練と血気盛んな若手との対比がビビッドですが、一方で彼らを我が子のように育て鍛えるジムのオーナーの山村聰さんとバーのマダム新珠美千代さんとの想い合うも決して結ばれない大人の純愛が切なく響くところで…。
 中盤のステレオタイプな青春映画スタイルとラストの絵に描いたような大団円は好みの分かれるところですが、それも往年の娯楽映画の懐の広さと感得できる名編でありました。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

4.5日本が誇って良い拳闘映画(若尾文子出演作)

2023年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

久しぶりに観たら、日本が誇ってよい拳闘映画の佳作だった。

初見のシネマヴェーラ渋谷(2018年2月26日)では「若尾文子出演作」として観たので「自分が生まれる前の若尾文子をカラーで見られて綺麗。でも出番少ない…」の微妙な感じだったが、BS日本映画専門チャンネル【蔵出し名画座】で放映されたので「もう一回観てみるか…」というニュートラルな立ち位置で見たところ、とんでもなく面白かった! そして感動した!

1960年の「拳闘映画」である本作、知らないボクサー同士の拳闘場面から始まる。そしてチャンピオンが突然引退発表して王座空席となったことから、チャンピオンを目指す3人のボクサー(川口浩、本郷功次郎、三田村元)のドラマ、それぞれのジム会長どうしの思惑・駆引き物語、恋人たちとの思いなどが描かれている。
様々な視点でのドラマの絡み合いが絶妙で、まったく飽きることなく楽しく観られる映画となっている。井上梅次監督の手腕が光る。

川口浩の恋人役は若尾文子(小学校教師)…何度も恋人役している定番ww…、本郷功次郎と三田村元の狭間で心揺れる野添ひとみ、ジム会長=山村聰を思うバーのマダムが新珠三千代(東宝)などだが、こうした関係が「横関係だけでなく、縦関係としても描かれた映画」なので面白い!
とりわけジム会長=安部徹の「悪役的だが【粋】なあたり」には感動。

物語詳細は割愛するが、この時代(1960年頃)は「テレビを見るのも一苦労」だったようで、若尾文子が川口浩の拳闘試合を白黒テレビで見ている喫茶店では他の客にチャンネル変えられたため町中でテレビを見られる店を探しまわる。また、野添ひとみはテレビでなくラジオで拳闘中継を聞いていたりする。

二度目の鑑賞で「えっ!」となったのは、本郷功次郎が野添ひとみにビール口移し場面では思わず笑わせられて、新珠三千代が山村聰に「(お金の工面するかわりに)私を抱いて」という場面は色っぽ過ぎ……(笑)

なかなか盛りだくさんのエピソードが楽しめる面白い大映映画であった。

<映倫No.11645>

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たいちぃ

3.0拳闘

2023年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ボクシングのウェルター級チャンピオンが引退、空位となった座を争うことになる。
ひょんなことから同じジムのベテラン(川口浩)とやんちゃな新人(本郷功次郎)が戦うことになる。
これにジムのボクサー争奪戦が加わり・・・。
ボクシングと言うセリフが出てこないボクシング映画。

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いやよセブン