恋にめざめる頃

劇場公開日

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解説

昭和十年PCLで映画化された成瀬巳喜男脚本・監督の「妻よ薔薇のやうに」の再映画化。原作は中野実の『二人妻』。脚色は大野靖子で、時代を現代におきかえ、娘の目からみた父親像が今度の作品の焦点になっている。監督は「街に泉があった」でデビューした浅野正雄。撮影は「コント55号 世紀の大弱点」を担当した中井朝一。

1969年製作/88分/日本
配給:東宝

ストーリー

山本君子は、母悦子のもとに明るく美しく成長したが、まだ父俊作を見たことがなかった。君子は、会社の男子社員の関心の的、小泉、松木、河島らは、彼女の心を射とめようと必死だった。しかし、君子には父親を慕う気持が強く、彼らに友だち以上のものを感じなかった。父の俊作は、福島の片田舎で温泉芸者と一緒になり今では子供もいるという。そして時々送金してよこす俊作を思い出して悦子は“いく年をわれに冷たき人ながら春来と聞けば恋しかりける”などと、詠んだりした。君子は、恋歌を作って自分を誤魔化している母が、じれったかった。叔母のとみは、死にもの狂いで連れ戻せばいいんだ、とも言った。君子は、一人雪国の父を尋ねた。俊作は、小さな美容院を経営する妻の雪子と二人の子供に囲まれて幸福そうだった。そこには明らかに家庭があり、君子は団らんから外された孤独な局外者にすぎなかった。雪山ではじめて二人きりになった時、君子は愛情をむき出しにして父の胸にとびこんだ。君子が父を連れて帰京した日、二人の幼い姉弟は、俊作をどこまでも追って来た。しかし、君子の努力にもかかわらず母と父の間の溝は埋らなかった。そして、君子は自分の苦労が無駄だったことに気がつくのだった。三日後、俊作は帰っていったが、悦子は他人行儀に別れの挨拶をするのみだった。悦子が結婚指輪を抜いたのはその直後、それは君子自身にとって父親から開放された、記念すべき時でもあった。

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