戦後残酷物語
劇場公開日:1968年2月10日
解説
小野年子と五島勉の同名原作(大和書房刊)を、「黒い雪」の武智鉄二が脚色・監督した戦後風俗もの。撮影は高田昭。
1968年製作/87分/日本
原題または英題:The Mass Violation
配給:大映
劇場公開日:1968年2月10日
ストーリー
進駐軍が町中を闊歩する終戦直後の京都。東京の空襲で両親を失った小野年子は伯母の家に身を寄せることになった。そんな彼女にある日突然MPから出頭命令が来た。軍物資不法所持の嫌疑をかけられたのだ。連行される途中年子はGIたちの好色な目に身体中をなめまわされ、さらに空地に隆ろされて屈辱的な責めに涙を流した。このことから年子は伯母の家に房れず東京の友人宅に身を置いた。ある晩、年子は警ら中の巡査に街娼と間違えられた。そして検診の結果性病に罹っていることが判った。入院した年子はいつしか医師望月に秘かな想いを抱くようになった。間もなく、GIが病院を襲い、看護婦や妊産婦に暴行するという事件が起った。望月は責任をとって辞職した。失望した年子は入院中に知り合った娼婦の甘言にのって三沢へ流れた。年子はそこでエミソン軍曹と知り合い華やかな生活を送ったが、やがて美男の大尉ロジャースを愛するようになった。大尉は美人ホステス、後宮潤子と生活を共にしていたが、すっかり年子に魅了され邪慳にも年子と共謀して潤子を追い出してしまった。新生活に胸をふくらます年子と大尉。絶望した潤子は首吊り自殺をして二人の前途を呪った。ある日大尉は同僚のミラー少佐らを誘って女性ハンティングに出かけた。年子は買出しの少女行田文栄の誘拐に一役買った。文栄は大尉のなぐさみに激しく抵抗した。そして大尉の舌を噛切ると同時に文栄も自ら舌を噛み若い命を絶ってしまった。年子は再び娼婦に逆戻りした。泥沼の中を転げまわるように生きる年子はやがて体に異常を覚えるようになった。診療所を訪れた彼女は望月と再会した。が、喜びも束の間、癌との診断をくだされた。やむなく年子は手術代を借りにミラー少佐と久美を訪ねた。だが、二人のしうちは冷酷だった。殺意が年子の脳裡をよぎったのはその時だった。