サイボーグ009 怪獣戦争

劇場公開日:1967年3月19日

解説

『少年マガジン』に連載した石森章太郎の原作漫画を「サイボーグ009」の芹川有吾と飯島敬、「少年忍者 風のフジ丸 大猿退治」の白川大作が共同で脚色、芹川有吾が監督した動画で、“サイボーグ009”シリーズ第二作目。撮影は新鋭池田重好。

1967年製作/60分/日本
原題または英題:Cyborg 009-Underground Duel
配給:東映
劇場公開日:1967年3月19日

あらすじ

超音波を放つ巨大な怪獣プレシオザウルスが次々に豪華船を襲ったため世界中が大混乱に陥った。ギルモア博士は直ちにサイボーグたちを全世界から召集、怪獣に対することになった。博士は怪獣が世界征服を企むブラック・ゴースト団の新兵器だと見抜いたのである。001から009までのメンバーは対超音波砲を備えた船で太平洋のグルカ島に出発したが、その中にかつて009が事故から助けたヘレナが密かに乗っていた。009はヘレナの乗船を認めたが、グルカ島に近づくにつれて次々と襲ってくる大エイロボット群や、発光クラゲと戦わねばならなかった。やがて、グルカ島に着いたサイボーグたちは、出現したプレシオザウルスを001の観念移動力で逃がれ、ブラック・ゴースト団の基地に潜入した。しかし、ヘレナが実は敵のサイボーグ0010と知った009は、ヘレナを殺そうとせず逃がしてやった。そして、再び現われた怪獣を009は口の中から飛び込んで破壊したものの、他のサイボーグと共に電磁罠に捕えられたのである。しかし、正義に目覚めたヘレナは009たちを救ったのだった。ヘレナは裏切り者として殺されたが、怒ったサイボーグたちは、ついにブラック・ゴースト団の秘密基地を爆破した。そして、平和の使命を終えた009たちは、それぞれの国へと帰っていった。

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映画レビュー

4.0 真の敵は、人間の邪悪な心と醜い欲望!

2025年9月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

前作のヒットを受けて、翌年1967年の春休み興行で公開された続編。
死の商人ブラックゴースト団を壊滅させたサイボーグたちは、それぞれの母国に帰りそれぞれの生活を送っていた。

石森章太郎(石ノ森章太郎)の少年マガジン版「サイボーグ009」(地下帝国ヨミ編=シリーズ屈指の名編)をベースとしているが、地底人のパートを切り落として少年キング版の暗殺者編とミュートス・サイボーグ編を混合させたオリジナル物語。

本作では、より平和への願いと人間愛(サイボーグも人間である)が謳いあげられている。

石森は、ミュートス・サイボーグ編で敵のサイボーグだったヘレナを、地下帝国ヨミ編では地底人のヘレンに変えてもう一度登場させ、悲劇のヒロインとして描いている。
本作では地底人は登場せず、敵のサイボーグが009達に襲いかかる。その一人がヘレナで、009・ジョーは彼女と戦うが命を救い、ヘレナに人間愛が目覚めるという、原作の重要なエピソードが反映している。

ヘレナのCVは市原悦子!

003・フランソワーズが当初は戦いを拒絶するなど、平和のために戦う(敵と戦争する)ことの矛盾の中にサイボーグたちが立たされていることを示している。
前作で壊滅したはずのブラックゴースト団が復活しているのは、前作でブラックゴースト団の首領コンピュータ(?)が最後に残した言葉と繋げて考えると、特定の生き残りが組織を復活させたというより、人間に潜在する邪悪な心が自然に生み出してしまったと理解できる。

001・イワンの超能力(人間の脳が最大限に活動することで発揮される能力)が大きく開花したのは本作から。一度大きな能力を使うと、長い眠りに落ちてしまう赤ちゃんならではの設定は原作どおりで、何度もしょっちゅう使えない。
009は9人の能力を総合的に有しているのだから良いとしても、006・張々湖も、007・グレートも海底で敵と戦う。これでは008・ピュンマの唯一の能力が方無しだ…。
と思ったら、一瞬だが008が敵に向かって水のようなものを口から吐いて攻撃する場面があった。これはビックリだ。(この008の能力はテレビ版にも引き継がれている)

サイボーグ戦士が9人もいるので “集団抗争劇” に陥ってしまうと子供たちが主人公に熱狂することの妨げになりかねない。
後半で敵基地にアプローチするのを半数に絞ったのは(原作どおりだが)それを考慮してではないだろうか。

敵に仲間が捕らえられ、009は万事を休す。
ここでヘレナが身を挺して救う展開なのだが、この場面への力の入れようは尋常ではない。
ヘレナを描くカラートレスは紗がかかったような効果を出していて、いかにもヒロインの趣きだ。“溜め” の演技がメロドラマ調を煽っていて、彼女の決死の覚悟を情感豊かに見せている。その間、009も敵も画面の外で何も手出ししない、ヘレナの一人芝居・独壇場なのだ。
監督(クレジットでは「演出」)の芹川有吾は東映動画に入社する前は新東宝で実写映画を学んでいた人らしく、この演出にはそういう素養が発揮されていると思われる。

芹沢有吾と共同脚本の飯島敬・白川大作が、石森章太郎とディスカッションを重ねて作り上げたこの物語は、前作もそうだったが、原作よりも反戦メッセージが強く出ている。
戦争を知らない子供たちへ向けた彼らの思い、まんが映画の存在意義をそこに見いだした制作陣の熱量を感じるではないか。

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kazz

1.0 タイトルなし(ネタバレ)

2024年1月30日
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マサシ

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