六人の女を殺した男
劇場公開日:1965年7月31日
解説
「赤ひげ」の小国英雄のオリジナル・シナリオを、「女めくら物語」の島耕二が監督した喜劇。撮影は「花実のない森」の小原譲治。
1965年製作/85分/日本
配給:大映
劇場公開日:1965年7月31日
ストーリー
売れっ子抽象画家の阿部健は、芸術家仲間では小心で真面目な男で通っているが、生来の女好きが災いして、幾度か痛い目に会ったこともある。妻の貞子は、そんな健の尻を叩いては、健の才能を唯生活費の捻出機としてしか認めていなかった。そんな健のよき理解者は親友のピアニスト加納哲也であった。ある夜、健と大喧嘩をした貞子は、派手に転んで頭を打ち、頭蓋骨骨折であの世ゆきとなった。その後に坐ったのは、健のゆきつけのバーのマダム恵美子。健は恵美子から正式に籍に入れて欲しいと言われ、手続きをとったがすぐ後に、恵美子は健の浮気をネタに離婚話を持ち出し、慰謝料を二千万円ふっかけた。流石の健も怒り心頭にきて襲いかかろうとしたとたん、恵美子は激しくドアを閉め、そのはずみで落ちたシャンデリアの下敷となり即死した。憔悴して温泉場へ来た健は、田舎娘千代を伴って帰京したが、芸術家夫人におさまった千代のアプレ振りに、ほとほと手を焼いて自動車事故と見せかけ、心中をはかったが、健だけ一命をとりとめた。病院に入った健は、献身的なサービス振りにまいって、看護婦芳江を第四夫人にした。ところが芳江は、完全恢復に至らぬ健に夜毎関係をせまり、さらに二千万円の生命保険を契約していた。身の危険を感じた健は、心中を装って彼女を毒殺した。相次ぐ不幸にしょげた健に近づいたデザイナーペギー稲山は、健とタィアップして新しい色彩理論をうち出そうと話をもちかけたが、彼女は健の新理論は自分の原画の盗作だとニュースをばらまき、デザイン界のトップレディーに躍り出た。怒った健は彼女を遊園地に誘い出し、ワンダー・ホイルから突き落した。事故死と断定され、えたりと帰宅した健は、ハウス・キーパー兼子に、所業を見破られ、さらに、もし自分が危険にさらされた時はメモが警察に届く仕掛だと迫られた。兼子をかって一度抱いたことのある健は彼女をベッドに誘い、浴室に入っている彼女を見すかして、ガス栓をひねって、殺害した。遂に警察に送られる健は、かえってホッと胸をなで下ろしていた。