狸穴町0番地
劇場公開日:1965年6月12日
解説
「温泉あんま」のコンビ桜井康裕、小滝光郎、木村恵吾がシナリオを執筆、木村恵吾が監督した喜劇。撮影は「幸せなら手をたたこう」の宗川信夫。
1965年製作/87分/日本
配給:大映
劇場公開日:1965年6月12日
ストーリー
林立するビルディングに、疾走するマイ・カー族。人間様は繁栄の美酒に酔い知れていたが、ここ狸穴町0番地に住む狸たち泥八一家と栗助家の生活は苦しくなる一方だった。今日も、また生活難打開工作の家族会議が始った。そして泥八の女房おたねの名案で、人間に仲間入りをして、稼ぐことになった。翌日、色は黒いが、目鼻立ちのはっきりした可愛い娘がクラブ・スリーBに現われた。タバコ・ガールの募集にとびついたおくろと、栗助の妹の木の実だったが、おくろだけが合格し、おくろはタバコガールとしてスリーBに入ったのだ。器用なおくろは、ヒットソングを披露したり、その可愛らしさから、客うけがよかった。そんなある日、ハンサムな人間様のボーイ頭公彦が、支配人と喧嘩して、店を辞めた。その原因がおくろにあるのを知って、マッチに化けて、公彦のポケットに入ったおくろは、公彦を慰め、後を追って、スリーBをやめた。がめつい泥八はそんなおくろをせめ、木の実が待合竹林で芸者になってかせいでいる話を聞くと、おくろを半玉に仕立てて竹林に送り出した。木の実は売れっ娘で、お馴みのテレビブロデューサー藪小路について、テレビ出演する程の景気だった。これを聞いた泥八は自から按摩に化けて竹林に乗りこむと、泥八一家と栗助家の藪小路争奪戦が開始された。両家ともみつぎの金策に苦労したあげく、藪小路を待ちわびたが、藪小路氏は遂に姿を見せなかった。狸が人間に化かされたショックで泥八は病に臥し、おくろはギターを流して街を歩くようになった。やがて高速道路建設のため0番地が整理されることになり、狸族は山奥に帰ってゆくことになった。0番地の狸御殿の中、おくろのお姫様姿を見た公彦は、すべてを知って、涙ながらに別れた。