暁の合唱(1963)
劇場公開日:1963年12月8日
解説
石坂洋次郎の同名小説より、「江分利満氏の優雅な生活」の井手俊郎が脚色、「やぶにらみニッポン」の鈴木英夫が監督した青春もの。撮影は、「イチかバチか」の逢沢譲。
1963年製作/92分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1963年12月8日
ストーリー
ここはある地方都市--朋子は小出交通の新米バスガールだ。高校を優秀な成績で卒業した朋子は、両親の心配を他に、社会勉強に励んでいた。今日も、社長の弟で、土地の映画館の支配人である、プレイボーイ三郎を無賃乗車で捕えた。やがて社長の小出がブラジルから帰って来た。現地に設立した会社が軌道に乗って張り切る小出を前に、小出の世話をうけている米子は寂しさをおぼえた。一方三郎は、朋子の明るい姿に心を怠かれ、今まで女性の前でみせていた調子のよさを捨て、彼女の前にすべてをさらけ出した。ある日、朋子はバスの中でお腹の大きい子供連れの百姓女の看病をする破目となった。陣痛を起して苦しむ妊婦を、老婆をはじめとするのりあわせた人々の協力を得て、みごと元気な赤ん坊の泣き声がバスの中に響いた。この一件は、朋子に女として将来に持つ重大な使命を考えさせた。ホッとした表情の乗客達の間を産着代のカンパの声が明るかった。その後、自動車試験場で浮田について車の運転を練習していた朋子は急性盲腸炎で入院した。その手術の際、気の弱い米子に代って手術に立合った浮田に、三郎は強い嫉妬をおぼえた。一方、ブラジルに永住する決心をした小出は、朋子を三郎の妻にしようと心にきめ、浮田と米子を結ばせようと考えていた。こうした時朋子は、三郎が次の映画館とかけ持ちするフィルム運搬のジープに同乗して山道にさしかかったが途中ガソリンがきれて、その上豪雨に見舞われ立往生した。ジープにのって出た事を知り、心配して追っかけた浮田と米子に、救けられ三郎はようやくフィルムを町に送ったものの、自分の軽はずみな行動に嫌悪した。やがて三郎は心機一転とブラジルに渡り、一生懸命働く事を誓って日本を発った。一方朋子も、バスガイドを通して人生へ大きく成長しようとはりきった。