黒の死球

劇場公開日:

解説

オール読物所載・高原弘吉原作“あるスカウトの死”を「やっちゃ場の女」の田口耕三が脚色、「殺陣師段平(1962)」の瑞穂春海が監督した推理もの、“黒”シリーズの七作目である。撮影は「黒の報告書」の中川芳久。

1963年製作/83分/日本
配給:大映
劇場公開日:1963年6月8日

ストーリー

ルビースのスカウト柏木は、高校随一の左腕投手菊川を獲得した。喜びも束の間、先輩スカウト、イーグルスの浜田の死を知った。警察は断崖下で発見された浜田を菊川獲得失敗からの自殺と断定した。柏木は自殺説を信じなかった。浜田の娘しず枝は、遺品中に女物の高級時計購入の領収書を発見したが、実物は見あたらなかった。そんなしず枝にレントゲン写真が届いた。浜田の頼んだもので、骨折した男の左腕だった。過日、菊川はケガをしていたので行ってみたが菊川は回復していた。偶然バアで柏木は浜田の時計ナルダンをしているユカリという女をみつけた。翌日、柏木はユカリを訪ねたが、彼女は失踪していた。柏木はかつて浜田が、108米の遠投記緑うんぬんといったのを思い出し、早速県の体育課で調べた。やっとその男が竹村健太郎と判明した。健太郎は骨折していた。柏木は、たくみに健太郎を診断したのは外科医の犬塚だと聞き出した。しかし犬塚はこれを否定した。柏木は菊川を彼に紹介した教師羽田野の叔父がこの犬塚であること、さらに健太郎の姉がユカリで本名は伸子だという事実を掴んだ。浜田は健太郎を狙ったのだ。伸子は浜田に惹かれていった。伸子を愛している波田野は浜田を憎んだ。菊川の件で欲の出た羽田野は、後輩健太郎でも一儲けを企んだ。そして羽田野は、健太郎骨折の芝居を書いて条件の悪い浜田に断念させようとした。浜田はあきらめなかった。このため羽田野はいつも静岡に泊る浜田をうまくだまして、自分の母の経営するへんぴな温泉地へ呼び出し殺害した。すべてを羽田野は自白した。同時に病魔に冒されていた彼は喀血して果てた。柏木はしず枝と結婚の約束をかわした。

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映画レビュー

3.0野球スカウトと殺人事件…

2023年2月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

大映の“黒”シリーズ第4作。
野球スカウトマンのスカウト合戦のさなか、1人のスカウトマンが死亡して、自殺か殺人か?という物語になっていく映画。

宇津井健がスカウト役、死んだ先輩スカウトマンの娘=藤由紀子、…という配役なので、「おっ、二人がイイ仲になるかな?」と思うと、初っ端で宇津井健が藤由紀子にフラれる(笑)
しかし、本作でも藤由紀子は超絶美人。

ある野球球団で投手が事故で使えなくなったため、スカウトマン柏木(宇津井健)が高校随一の投手獲得のため(投手の住む)長野に行く。
この映画が撮られた頃の「長野の街並み」は、善行寺を中心にして、高い建物の無い[昔懐かしの風景]である。
そして、柏木は高校生投手の獲得に奔走するが、大先輩スカウトマンの浜田(河野秋武)が崖の下で死亡しているのが見つかる。
すると、この後は野球スカウトマンの物語ではなくなって、殺人事件の真相を宇津井健が追いかける物語になっていく。スカウトマンが刑事みたいになっていく、凄い展開である(笑)

スカウト合戦、女をめぐる男たちの思惑、金にまつわる人間模様、そして男女の恋愛……など様々なエピソードを詰め込んだ映画になっており、それなりに楽しめる。

このシリーズ(全11作)は、田宮二郎か宇津井健が大半(1本だけ川崎敬三)だが、本作は宇津井健なので、田宮二郎のようなクールな感じではなく、思いやりを感じるような雰囲気。

それなりに楽しめる映画である。

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たいちぃ