新・狐と狸

劇場公開日:

解説

熊王徳平原作「甲州商人」より、「花影」の菊島隆三が脚色、「続サラリーマン清水港」の松林宗恵が監督したコミカル・ドラマ。撮影は「夜の傾斜」の鈴木斌。日本喜劇人協会結成記念。

1962年製作/98分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1962年9月29日

ストーリー

美しい瀬戸内海を渡る四国航路の定期船。その客室で時ならぬ騒ぎ、二人の男女の言葉につられた船客たちがわれ先きにと着物の奪い合いを始めたのだ。この二人、野末と夏子は泣きおとしの手を使って客の同情を集めインチキ和服を売りつけるバイ人だったのだが。これを苦い顔で見守っていたのは同じ穴のムジナ、化繊の洋服を純毛と偽って売る京太だ。京太ら売人仲間は日本中を舌先三寸で押しまくり、転んでもただでは起きぬたくましい生活力を持っていた。高松へ着いた京太は、偽物を掴まされたまち子という女の伯父になりすまして野末の鼻をあかすと、女に人一倍弱い彼のこと、まち子が宿にたずねてこないかと期待に胸をはずませるのだったが……。翌朝から京太たちのアノ手コノ手の派手な売り込み合戦が展開された。その留守に、まち子は京太の親せき“手早の甚八”のポンコツ車でドライブに出ていたとは。行商は斜陽化したという甚八と強気の京太は議論するのだったが、その最中凄味のきいた男がのりこんできた。この男、まち子が名古屋で同棲していたヤクザで、てんやわんやの大騒ぎ。これがきっかけで甚八とまち子は結ばれ、甚八はバイ人の足を洗って大阪へ向った。一方、京太は夏子に出会い、喧嘩をしながらもネタをわけてやったり病弱な夫がいることを聞くと儲けを見舞いに出す人の好さだ。二、三日後、ウラ目つづきの京太たちはミス四国コンテストに便乗して一か八かの大バクチをもくろんだ。ことは京太と野末の活躍で大成功をおさめるかに見えたが、雨でミス四国の衣裳が半分に縮んでしまって大アワテ。遂に最後のネタも水の泡となって彼らは身の振り方を真剣に考えるが、人間が洋服を着ているかぎりバイは出来るという京太の言葉に元気づけられ、陽気に阿波踊りの波に入って行くのだった。

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