嫉妬(1962)
劇場公開日:1962年1月3日
解説
九鬼紫郎原作「キリストの石より」「東海道非常警戒」の藤島二郎と「黒い乳房」の杉本彰が共同で脚色、「黒い乳房」の土居通芳が監督したミステリーもの。撮影は「南郷次郎探偵帳 影なき殺人者」の中溝勇雄。
1962年製作/76分/日本
配給:大映
劇場公開日:1962年1月3日
ストーリー
日高月江の嬰児殺害、死体遺棄事件の担当検事安西と、汚職容疑で手配中の関口の妻朝子はかつて相愛の仲であった。朝子の妹友子は不幸な姉のよき協力者で、安西への求婚者である。ある日、安西は朝子から取引きに立会って欲しいと頼まれた。指定された通り、朝子から離れて見守っていると、一人の男が札束と交換に一冊の本を置いて風のように去った。そんな時、日高事件の被害者である笹川文子から盗難取消しの届出があった。関口が地検の動きをキャッチしようとして、朝子に安西へ働きかけるよう強要していることが判った。情婦文子の許へ永田検事が要請に出かけたと知った関口が、朝子と懇意な安西をも利用、すこしでも自分の立場を有利にと図ったのだ。しかし、この思惑は朝子の安西への誠意の前にもろくも崩れた。関口は激しく朝子を責めた。その翌日、関口が突然死んだ。死因は心蔵弁膜症。当局の調査で燐による中毒死と判った。なお追求すると、先日朝子から金をまきあげて行った男が日高月江を騙した男であり、書物は安西と朝子のことを記した朝子の日記であることが判明した。朝子の容疑が深まり、安西は心を痛めたが、彼女はあっさり自白した。関口さえいなければ、安西と一緒になれるという単純な動機による犯行だった。安西は朝子に自首をすすめ、自分も辞表を提出して一切を処理しようとした。だが、翌日朝子は自殺を図った。友子からの報らせでそれを知った安西は愕然となった。しかし、この事件が契機となって真犯人が判った。それは意外にも友子だった。薄倖な姉を案じるあまりの殺人なのだ。露知らぬ朝子は無害の楽を劇薬と思い込み、挙句の果てにはそれを飲ませた自分の犯行と思い込んでいたのだ。友子は呵責の念に耐えきれず、断崖から身を投じて罪の償いをした。数日後、その断崖に立った安西と朝子は、薄暮の海に花束を投げて亡き友子の冥福を祈った。