トイレット部長
劇場公開日:1961年8月29日
解説
藤島茂の同名原作を「サラリーマン目白三平 亭主のためいきの巻」の松木ひろしが脚色、「出世コースに進路を取れ」の筧正典が監督したサラリーマン喜劇。撮影は「東京夜話」の玉井正夫。パースペクタ立体音響。
1961年製作/86分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1961年8月29日
ストーリー
太古から現代に至るまで、トイレットは人間の生活様式と共に変ってきた。しかし、小さなこの世界にこそ、いつに変らぬ本当の人間生活があるのではなかろうか。かのニュートンが地球の引力を発見したのも、トイレットの中だといわれている。国鉄本社の営繕課長笠島昇の仕事は、国鉄各駅トイレットの維持改善である。妻の友子は、夫の話題がトイレットのことばかりなのでうんざりしているし、息子の稔が近所の子供から「駅便課長」とからかわれるのが可哀相でならない。新入社員の三上も、トイレットがつまって困るという種類の話は大きらいのようだ。笠島は三上をゆっくり説得するつもりで自宅へ招いた。三上は暗い夜道で、若い女性に痴漢と間違えられ、空手チョップを食った。彼女は笠島の姪橋本純子であった。温い笠島の激励と明るい純子との語らいで、三上は自分の仕事の意義が判ってきた。その後、「女性は壁に向って用を足すか、ドアに向ってするか?」というアンケートで美容学校へ行った三上は、純子と逢った。そして二人は好意を感じ合うのだった。友子と稔をつれてピクニックに出かけようとした笠島は、幼馴染の保険外交員斎藤克代の訪問でオジャンになってしまう。そのため友子は機嫌がわるい。翌日、笠島は克代に電話で呼び出しを受け、したたか酒を呑んだ。サービスの悪い友子への意地から、笠島は克代の誘惑に負けそうになるが、陥落寸前、三上たちに自宅へ送り込まれた。純子は三上を送る途中、求婚され、月明りの路次で二人は唇を重ねた。克代とのことがバレて、友子は自分の夜具を純子の部屋へ運んだ。三上と純子の結婚式場で、「夫婦の愛情はお互が鼻についてから湧出するものです」という笠島の挨拶に、友子は胸をうたれた。新婚の二人を見送る東京駅のホームで、笠島はこれも新婚の旅に出かける克代とその夫らしい中年の男を見てびっくりした。五百万円の生命保険を契約してくれたその男と結ばれたのだ。以来、笠島家は新婚のような甘い気分がいっぱいである。友子は夫を理解するため、新聞を持ったままトイレに入った。それは笠島の日課なのである。