初めての旅

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解説

「赤頭巾ちゃん気をつけて」に続いて森谷司郎監督が岡田裕介、森和代のコンビで描く“新しいフィーリング映画”第二作。脚本は「赤頭巾ちゃん気をつけて」で森谷司郎と共同執筆した井手俊郎。撮影も同作の中井朝一がそれぞれ担当。

1971年製作/84分/日本
配給:東宝

ストーリー

明治神宮外苑表参道の落葉にうもれた並木道で、西村純一と尾根勝は出会った。二人はどちらからともなく、舗道にとめてあったスポーツ・カー、オースチン・ヒューレーに乗りこんだ。「どこへ行こうか」「どこでもいいさ」二人はそれだけの会話を交わすと初めて笑い、そのまま旅に出た。運転席の純一はよく道を知っていた。家中でよくゴルフに出かけるからだという。勝は、東京のごく一部の馴染の町だけしか知らない。勝の家は貧しかった。ぐうたらな父と浮気な母。父は決して勝を可愛いがらなかった。父と母は離婚し、父のかわりに若い男が入って来た。やがて勝は町工場に勤めたが、息のつまりそうな毎日だった。勝は給料日だったその日、何もかも馬鹿らしくなり、工場を飛び出した。純一と勝は江の島海岸で遊び、純一は牧場を経営する伯父がいる三島へ行くことを提案した。伯父は西村一族の鼻つまみ者で、若い頃渡米し、終戦まで帰国しなかった。伯父は西部の大平原を真っ赤に染める夕陽を見た瞬間、心を奪われ、そのままカウボーイになってしまったのだという。純一の家はかなり“きちん”とした家だった。母は教育熱心で、他の兄姉はみな社会的に有力な家に嫁いだり、そういう家から嫁をもらったりしていた。だから牛飼いの男が一族の中にいること自体、許せないことだった。車を走らす純一は、自転車にのった少女とすれ違うと、去年の夏の甘ずっぱい記憶がよみがえった。海岸で出逢った男の子のような少女。純一と少女は五米ばかりの間隔を置いて釣竿を落としていた。純一は少女の口ききで釣った魚を街の食堂に売った。その後、この間隔はちぢまり、餌入れは共同使用となった。純一の伯父の牧場はすぐ見つかった。伯父は間もなくここを売って北海道へ行くという。その時は、世話になった心のきれいな人に何かを残してあげたいともいった。純一は車を盗んでここに来たことを告白した。「返すべきだろうな……もっと強くなりなさい」と伯父はいった。警官が玄関先にたったのはその時だった。警察で純一と勝は訊問された。純一の父が法務省の次官だとわかると刑事は、二人を引き離そうとしたが純一は真っ赤な顔で振り返った「西村さんとは何だ!西村と呼び捨てにしたらいいじやないか!僕たちは同じことをしたんだぞ!」。飛びこんできた警官が二人を別れさせたあと、勝は独り埃りっぽい部屋の一隅に坐りながら微笑んだ。

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