中山あい子未亡人学校より 濡れて泣く
劇場公開日:1977年5月21日
解説
中山あい子原作「「妻たちの午後は」より 官能の檻」に続く映画化第二回作品。宮下順子扮する未亡人がそのさみしさをまぎらわすため、性に溺れこんでいく姿を描く。脚本は「性と愛のコリーダ」の鹿水晶子、監督は「四年三組のはた」の藤井克彦、撮影は「女秘書の告白 果肉のしたたり」の萩原憲治がそれぞれ担当。
1977年製作/73分/日本
配給:日活
劇場公開日:1977年5月21日
ストーリー
弔問客に頭を下げる喪服姿の美加の美貌が誰の目にも痛々しかった。他の女との情事の果てに無理心中した夫忠志の死は、美加にとって確かに情けなかったが、一人息子の達也との親子水入らずの楽しい日が思い出され、他人にいいしれぬ寂しさを感じた。義母ユイの勧めもあって達也を義兄秀人夫婦に預け、自活生活を始める決心をし、簡素なアパートへ移った。やるせない毎日の続く美加の部屋に秀人が訪ねて来た。美加は秀人の優しさに寂しさを紛らすかのように身を委ねた。美加の頭に忠志と女の情事の様子が一瞬よぎった。それを忘れるかのように快楽を貪る美加は再び女として目覚めるのであった。美加はある日、保険外交員の荒井はる子に紹介された「白鳥会」のことが気になった。それは、虚栄とセックスで結束された、未亡人の乱交グループである。美加の入会の手続きをしてくれた会長佐渡に美加は何かひかれるものを感じた。毎日の平凡な暮しに飽きた美加は「白鳥会」に電話した。佐渡はそんな美加のため会のパーティに彼女を招待した。薄暗い異様な会場では多数の男女が貪りあい、美加も佐渡の大胆なテクニックによってとろけるようなエクスタシーを感じていた。しかし、佐渡にとっては美加も金を吸い上げる会員の一未亡人にかわりなく、彼は美加に次から金をもって来るよう強要。そんなある日、美加の部屋に友人の洋子が訪ねて来た。洋子は美加の変化に目を見張った。というのも美加は誰の子ともわからぬ子を宿していたのだ。そして、美加の佐渡への思いはつのる一方。彼の言いなりになる美加。今ではその様子は娼婦同然であった。しかしそれは、夫のことを忘れられない悲しい未亡人の姿でもあった。忠志の一周忌の日、ホテルの一室で喪服の美加が冷たく横たわった佐渡の死体の横に座っていた。今までの美加の生きざまを吹き払うかのように、救急車のサイレンがけたたましく鳴り響いた。女の性の愚さ、みじめさを屈辱の中で知った美加の心は、頭上に広がる青空のようにすがすがしく戯れる達也を見守る目には母親としての誇りさえうかがえるのだった。