銀河英雄伝説 わが征くは星の大海

劇場公開日:

銀河英雄伝説 わが征くは星の大海

解説

田中芳樹の傑作SF小説を原作に、1988年12月から発表されたOVAシリーズ「銀河英雄伝説」に先駆け、同年2月に公開された劇場版アニメ。

遥か未来、宇宙空間では専制政治を敷く銀河帝国と民主主義を掲げる自由惑星同盟が長きにわたる戦争を続けていた。宇宙暦795年。艦隊を率いてイゼルローン要塞を目指す帝国軍大将ラインハルトに、要塞に接近した同盟軍艦隊を迎撃せよとの指令が届く。要塞を指揮するミュッケンベルガー元帥とその幕僚は、皇帝の寵姫の弟であるラインハルトを姉の威光を借りただけの若僧と決めつけ、捨て駒として使おうとしていた。ラインハルト艦隊と同盟軍艦隊はガス状惑星レグニツァ上空で激突。同盟軍の准将ヤン・ウェンリーは、レグニツァの特異な気象条件を巧みに利用したラインハルトの策を察知するが、上官パエッタ中将はヤンの警告を無視して進軍を続ける。

監督は、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズなどで演出を担当した石黒昇。2022年12月、原作小説の刊行40周年を記念して4Kリマスター版でリバイバル公開。

1988年製作/60分/日本
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場公開日:2022年12月30日

その他の公開日:1988年2月6日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)田中芳樹・徳間書店・徳間ジャパンコミュニケーションズ・らいとすたっふ・サントリー (C)加藤直之

映画レビュー

3.0宇宙での戦争を描いた作品史上、 最も優雅な逸品のひとつ

2024年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

 クラシック音楽をBGMに、数多の戦艦同士が宇宙を舞台にして戦いが繰り広げられる・・・。その劇画タッチが合いなって、戦争映画にもかかわらず“優雅さ”を感じずにはいられない。ワイン片手にゆっくりと飲みながら鑑賞する、それが本作「銀河英雄伝説」の印象です。

 ストーリーとしては、はるか遠い未来、人類は専制政治を敷く「銀河帝国」と民主主義を掲げる「自由惑星同盟」の2グループに分かれ、150年近く宇宙で戦争を繰り広げていた。終わりの見えない戦いの中、今回はレグニツァの惑星上空にて両軍が激突する。その中には銀河帝国の若き大将:ラインハルト・フォン・ミューゼルと自由惑星同盟の若き准将:ヤン・ウェンリーがいた。後に英雄と称される2人が同じ戦場で戦った最初の戦いである・・・というもの。

 元々は後のOVA発売のためのプロモーションとして作られ劇場公開された本作。そのため物語としては、ほんの取っ掛かりでしかない。尺も60分と短め。しかし、それだけでも

世界観とキャラクターの存在感は、ちょい役までもが十分な光を放っている。

それも、歴史と戦争のジャンルが好きな人ほどハマるのではないだろうか?見てて思う。ただの戦争映画ではない。両国における“政治の腐敗した部分”が見え隠れしている。これがブルーチーズのようなアクセントとなり、癖になってしまう。

過去にも現代にもありえそうな(ありえた)ことを描いている。

ここが面白い!ただのアクション、フィクションに終わらない、濃密な描き方にハマってしまう。そういう意味では“大人な作品”になるだろう。
惜しむらくは、これが“取っ掛かりの作品”ということ。物足りなさは承知。この先を観るならOVAを観るしかない。しかし、これにハマったなら、OVAなんてあっという間に観れると思います。

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asukari-y

5.0幸せでした

2023年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

萌える

何度観ても感じるのは、第4次ティアマト会戦をボレロに載せての演出は史上最高だと言うこと。艦隊戦をここまで優雅な静と動、心理描写の移ろい~度胸、懐疑、驕傲、焦燥、集中、安堵など~をボレロにのせて的確に表現できるなんて素晴らしいです。観ていて、勝手に体も心もリズムをとってしまうのです。ワクワクが止まらないのです。何度も何度も観て知っているのに。どうしてこういう発想が生まれるのか不思議で仕方ないのです。今回は、それが映画館の大きなスクリーンでしかも5.1chの素晴らしい音響で堪能できたわけです。幸せを感じないわけがないです。

この作品は石黒版銀英伝の秀逸さを端的に表すものだと断言します。
あー石黒版を再構成していただき映画館で鑑賞したいもの、、、、って、時間がとんでもないことになりそうですね。

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zem_movie_review

4.04Kリマスター版を鑑賞

2023年1月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まずは音楽が良いですね、やっぱり。特に戦闘シーンは劇場の音響も相まって圧巻です。確か当時も劇場で見たはずなんですが、内容はあまり覚えておらず新鮮な気持ちで楽しめました。登場人物も出てくるたびにああそういえばこれはこういうキャラだったな、とか。当時の男性人気声優が大勢参加していたため、銀河声優伝説なんて言われていたのも思い出しました。

内容的には満点なんですが、他の方も指摘されているように一部アップコンバート処理が甘い点があったので-0.5、あとちょっと面倒なトラブルに巻き込まれたので-0.5しています(マニアは怖いですね…)

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mmr

4.0今はなき重厚で揺るぎない世界観に感動

2023年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

宇宙空間とクラシック音楽の素晴らしいマッチング。アニメ銀英伝の第一印象です。
34年前、高校生だった私は、ブリュンヒルトで流れていた音楽に感動して、ショパンのノクターン9番をピアノで練習しました。イゼルローンに着水する場面で「白鳥の湖」組曲にこんなにかっこいいワルツがあるのを初めて知りました。正直この曲は、本家のバレエで使用される場面よりこっちの方が断然生かし切れているとさえ思えます。…そんな数々の個人的な思い出がワーッと蘇ってきました。

プロローグの記述も帝国軍兵士が酒場で歌う歌もドイツ語だし、説明的なセリフやナレーションも少ない中淡々と話が進んでいくので、原作小説を知らない人にはわけがわからないでしょうが、この「ついて来れるもんだけついて来い!」的な、観客に媚びない姿勢がまたかっこいいです。このどっしりとした、重厚で揺るぎない世界観が頼もしいです。
最近の映画は、アニメに限ったことではないですが、あまりに多方面の顔色を伺ってビクビクしているというか、民主主義なのに表現の自由がないなぁと感じて心配になるので余計にそう感じたのかもしれません。
今、大画面で、シネコンのとっても良い音でこの作品を観ることができてうれしかったです。
劇場を出て、よし!もう一度小説を読み返そう!と思いました。

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かつのじょう