奇蹟人間

解説

「来るべき世界」と同じくH・G・ウェルズが書卸したオリジナル・シナリオの映画化で、「武器なき戦ひ」「豪華船」のロウター・メンディスが監督し、「幽霊西へ行く」「紅はこべ」のハロルド・ロッスンが撮影した。主演者は「人生は四十二から」「人妻の戒律」のローランド・ヤングで、「来るべき世界」のラルフ・リチャードソン、エドワード・チャップマン及びソフィー・スチュワート、「ドン・ファン」のジョーン・ガードナー、「フランケンシュタインの花嫁」のアーネス・セジガー、ロバート・コクレーン、ウォーリー・ルピノ、ウォーリー・パッチ等が助演している。音楽は「幽霊西へ行く」のミッシャ・スポリアンスキーが作曲し、ミューア・マシーソンが指揮に当たった。

1937年製作/イギリス
原題または英題:The Man Who Could Work Miracles George Mcwhirter Fotheringay

ストーリー

天国で三人の神が集まって、もし人間に今少し力を与えたら、地上の世界は進歩するかと議論の末、一人の男に奇蹟を行う力を与えて試験してみる事になった。この力を与えられたのは、イギリスの片田舎で洋品店に雇われているフォザリンゲイという取るに足らぬ男だった。或る夜彼は行きつけの酒場で、吊るしてあるランプが彼の云うままに動くのを知った。酒場の中は大騒ぎになり彼は摘み出されてしまったが、彼は其の夜欲する事は何でも出来る様になった。翌朝店へ行って怪我人を癒し雀斑まで癒したし、奇蹟の力は無限の様だった。しかし同じ店に働いているエーダに想いを寄せている彼は、彼女の心を自分に向け様としたが、人間の心には奇蹟の力も届かなかった。小さな町は彼の話で持ち切りになってしまった。洋品店の主人グリグスビイは彼の力を自分の店の利益に役立て様とするし、銀行の頭取バンフィールド、牧師メイディッグ等それぞれ各自の小さな頭から割り出した名案を提出した。しかしこの様な不思議な力を持った男に、勝手な事をされたら世の中が滅茶滅茶になると、ウィンスタンレイ大佐は彼を射殺し様とするが、幸いに弾丸は当たらなかった。だが結局人々は彼の力に屈服し、フォザリンゲイは自分の考え通りの理想郷を作る事に決め、立派な殿堂を建て、世界各国から一流の銀行家、法律家、政治家、教育者等を集め、今日中に新しい理想的な世界の計画を樹てる様に命じる。しかし議論は容易にまとまらない。今日中には無理だ、もっと時間を与えよ、と叫ぶ者がある。フォザリンゲイは待つ事は出来ぬと叫号し、太陽の没するのを引き止め、今日の時間を延ばそうとし、地球の運行を停止してしまった。宇宙の引力のため地球は一瞬にして破壊され、殿堂も理想郷も夢と化した。彼自身の命もあわや失われんとした時、彼は最後の力に依って漸く地球を元に戻すことが出来た。しかしそれと同時に奇蹟の力は彼を離れ、結局人間の一日一日、遅々として進歩するより他にはどうにもならないのであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く

他のユーザーは「奇蹟人間」以外にこんな作品をCheck-inしています。