エチオピアの空を行く

解説

これは今問題のエチオピアの実状を示した実写映画であり、その意味からはタイムリーなもので、ラストにハイレ・セラシエ陛下の御演説を録音している等、十分観客の心をつかむに足るものである。而しこれは飽く迄も一個のトラヴェローグの域を脱せず、その意味からはニュス・リール以上を出ず、実写映画とはいい難いものである。しかし、映画がエチオピアを描くに至るまで、即ち、飛行機でアジス・アベバに到着するまでの出だしは映画的にも、実写的興味からも悪くない。アレクサンドリアから、ポート・サイド、スフィンクスやオベリスクを眼下に眺め、ナイル河の白く光る一筋の帯に沿いながら、猛獣その他の生物が走り、踊る、この最初の部分は面白い。エチオピアに着いてからは、編集も良くないが、対象がエチオピアである--という事は時事的には大きな意義があるが--という意外には興味をひく物はない。キャメラは技術的に優れているとはいえない。尚これはスイス映画であり、パ社配給になる物である。英国上映版は80分。

1934年製作/52分/スイス
原題:Wings Over Ethiopio

ストーリー

スイスのテューリンを発した飛行機はアルプスを越え、地中海を横断しスエズ運河とナイル河を眼下に見乍アフリカの中央エチオピアの首府アジス・アベバに到着した。探険隊は皇帝ハイレ・セラシエ陛下に拝謁の後、チンマ地方を訪ね綿の生産を視察中の日本人一行に逢った。更に奥地に入り、一夫多妻のギャラ族を尋ね、駱駝に乗って旅行を続け、イツー族その他の奇習を尋ね、再び汽車でアジス・アベバに戻って首府の色々の施設を示し、大観兵式、大演習の実況をも示し最後にハイレ・セラシエ陛下の対伊政策の御宣言がキャメラに録されている。

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