バラ色の人生(1948)
劇場公開日:1949年10月
解説
新人監督ジャン・フォーレエの作品で「奥様は唄に首ったけ」のルネ・ウェレルが脚本を書きおろし、「北ホテル」「大いなる幻影」のアンリ・ジャンソンが台詞を書いた。撮影は「幻の馬」のルイ・パージュが指揮し、音楽は「奥様は唄に首ったけ」のジョルジュ・ヴァン・パリスが作曲した。出演は「乙女の星」「最初の舞踏会」のフランソワ・ペリエ「永遠の争い」「乙女の星」のルイ・サルーをはじめ「敗北者」にも出演するコレット・リシャール、シモーヌ・ヴァレール、ギュスターヴ・ガレー等で、ジャック・メルシエ、フランソワ・パトリス、セルジュ・エムリックも活躍している。
1948年製作/フランス
原題または英題:La Vie en Rose
劇場公開日:1949年10月
ストーリー
ある田舎町の中学校の教師テュルロオはまじめな男で、むしろばか正直といえるくらいの律儀者だ。貧しくて、陰気な性質で、頭も良いというほどではなく、生徒を教えるのも上手ではない。女遊びはもとより、女とつきあったこともないが、美しい恋愛の夢は人並に抱いている。むしろ人並以上で、美しいやさしい乙女と愛を語る自分を幻想して、知らず知らず微笑するといった調子である。つまり悪戯ざかりの中学生に、バカにされる最適格者なのだ。背中や腰に、紙きれをつけられることは毎日である。この中学の校長の娘が女学校を卒業して帰って来たのが、事件の始まりである。その時テュルロオ先生はクラスを校外教授につれて行き、帰校する途中だった。その美しい娘は中学の所在を彼に尋ねた。彼は案内した。彼女の眼に彼が滑けいな道化役者じみて映ったなどとは、テュルロオは夢にも思わない。キリリとした服装で生徒の衆望を担っている立派な先生と、彼女が見たであろうと夢想したのである。彼らは新たに日記をつけ始めた。彼がコレット--というのが彼女の名だ--を愛し、コレットも彼に好意を抱いている。それはテュルロオの希望だったのだが、夢想家の彼はいつかそれを真実と思い始める。テュルロオはコレットが彼の同僚のルコックと恋を語る仲になっている事も知らない。彼は授業中にも日記帳を出して、書いたり読んだりしたので、三人組の生徒は彼の秘密を知って了う。三人組はコレットが書いた様なレターを、テュルロオのポケットに忍ばせ、返事は裏庭の大木のまたにはさんでおくようにと指定する。計られたとは知らず、狂喜したテュルロオは心をこめた返事を書く、三人組はそれを取り、また手紙を書く。こうした悪戯が毎日続いて、テュルロオはコレットと恋仲になって了う。そして日曜日に町はずれのカフェで、コレットと密会する約束ができる。待ぼうけを食った彼はヤケ酒にでい酔しただけである。生徒たちはコレットとルコックが、博物標本室で密会する時刻を突きとめ、その時刻に来いと書いたコレットの偽手紙を木のまたにおいた。勇んだテュルロオは博物標本室のドアをあけると、ルコックとコレットが抱擁しているではないか。落胆した彼が机のひき出しをあけると、大切な日記が無い。生徒に返してくれと頼んだが、知らぬと言う。明日から夏休の終業式にもテュルロオは出席しない。三人の一人は日記を返しにテュルロオの部屋へ行くと首をくくって落ちて気絶している。日記をほうり出して逃げ出した途端ルコックと出会う。ルコックが活を入れると仮死のテュルロオは眼をさます。ルコックはテュルロオの日記を読んで気の毒に思った。テュルロオはコレットに夢想の恋愛をしたためにいろいろと落度が多く、校長に注意を度々受けていたこととて、終業式にも出席したくない先生には辞職して頂こうと申しわたされる。コレットとルコックが校庭で楽しく語らっている時、両手にトランクを下げて足どり重くテュルロオは立ち去っていく。