悪魔のような恋人

劇場公開日:

解説

「ロリータ」のウラジミール・ナボコフの小説を「欲望」のエドワード・ボンドが脚色「遥かなる戦場」のトニー・リチャードソンが監督した。撮影はTV出身のディック・ブッシュ、美術はジュリア・オーマン、編集はチャールズ・リーズが担当。出演はイギリスの舞台俳優ニコル・ウィリアムソン、「異邦人」のアンナ・カリーナ、「幸福」のジャン・クロード・ドルオー、他にピーター・オトゥール夫人のシアン・フィリップスなど。製作は「遥かなる戦場」のニール・ハートレイ。

1969年製作/イギリス
原題または英題:Laughter in the Dark
配給:ユナイト
劇場公開日:1969年5月31日

ストーリー

裕福な画商サー・エドワード・モア(N・ウィリアムソン)は映画館の案内嬢マーゴット(A・カリーナ)を知り、強くひかれた。マーゴットは彼の本当の身分を知り積極的にエドワードに近づき関係を持った。そのことは妻エリザベスに知れ、エリザベスは義弟ポールに荷造りをさせ家を出た。二人になったエドワードは、マーゴットのためパーティを開いたが、そこにハーブ(J・C・ドルオー)が来た。彼はマーゴットのかつての恋人で、エドワードとは仕事で顔見知りだった。マーゴットが上流社会に仲間入りをするチャンスをハーブが壊わすかも知れないと恐れたマーゴットはエドワードの財産を分捕るハーブの計画に加担した。マーゴットはエドワードの恋人のふりをし続けたが、本心はハーブが好きになりエドワードの眼をぬすんで二人は愛し合い、そして言葉たくみに、彼女はハーブをエドワードの助手にした。娘が死に悲嘆にくれるエドワードに、マーゴットは退屈した。そんな彼女を慰めるべくエドワードは外国旅行に出かけることにした。マーゴットの頼みでハーブも一緒に。旅行中マーゴットはハーブとバスルームを使って、巧みに逢う瀬をかさねた。が、それはエドワードの知るところとなった。拳銃をむけて怒るエドワードをマーゴットは説き伏せた。エドワードはマーゴットと二人だけで出発すべく、なれない車を走らせた。そして事故。マーゴットは無事だったが、エドワードはそのため盲目になった。見えないことを幸いにマーゴットはハーブをまた運転手にやとった。ハーブの態度は次第に大胆になり、おどしをかけるようにさえなった。そんなある日、多額の預金がおろされているのはマーゴットの仕業に違いないと、ポールが訪ねて来た。マーゴットに別れを言うから一人にしてくれと頼みポールを返したエドワードは拳銃を握った。買物から帰ったマーゴットを地下室に入れエドワードは拳銃をむけた。だが彼は、あやまって自分の胸をうってしまった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0イギリス映画のシニカルさが男女関係の恐怖映画に至るリチャードソン監督の傑作

2020年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

「ホテル・ニューハンプシャー」のトニー・リチャードソン監督の悪女映画。ピエル・パオロ・パゾリーニ監督のチョーサー原作「カンタベリー物語」の一挿話を彷彿とさせる、女の怖さをアンナ・カリーナが演じる。女と男の危うい関係をシニカルに描き切った恐怖映画の様なリチャードソン監督の演出は、他に類を見ないもので独特な味わいがある。原題”Laughter in the Dark"が作品の本質を突いた意味深な表現で、日本題名ではその怖さが少し和らいでいる。
リチャードソン監督の作品では、1977年作の「ジョセフ・アンドルーズの大逆転 苦難と冒険の物語」も気に入っている。1983年のテレビ放映では「ジョセフのドキドキ青春日記」のタイトルになっていた。こちらは貴族をカルカチュアした内容になっており、イギリス映画のシニカルな特徴を発揮していて、とても面白かった。「悪魔のような恋人」と共に再見の機会があるといいのだが。

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Gustav