裸で狼の群のなかに
劇場公開日:1964年4月14日
解説
ドイツのブーヘンワルト収容所にいたブルーノ・アーピッツの原作を自ら脚色、フランクバイヤーの監督した戦時ヒューマニズムドラマ。撮影はギュンター・マルチンコウスキー、音楽はウイリー・シェーファーが担当した。出演者はE・ゲションネック、アーミン・ミューラー・スタール、クリスティン・ヴォイチク、フレート・デルマーレ、ヴィクトル・アブジュシコ、ゲリー・ヴォルフ、B・プロトニツキー、ブルーノ・アーピッツ、J・シュトラウフなど。一九六三年度モスクワ映画祭最優秀監督賞を受賞している。
1963年製作/116分/東ドイツ
原題または英題:Nackt under Wolfen
配給:共同映画=フェニックス・フィルム
劇場公開日:1964年4月14日
ストーリー
一九四五年。ブーヘンワルト強制収容所は、独軍敗色の報に、解放の希望と虐殺の不安に焦慮していた。きょうもアウシュビッツから一団の囚人達が移送された。その中のヤンコウスキー(B・プロトニッキー)は古ぼけたトランクを大切そうに持っていた。驚いたことにその中には男の子(J・シュトラウフ)がうずくまっているのだ。SS(ナチス親衛隊)に見つかればすぐ殺されてしまう。その夜少数の囚人達によって子供は秘かに私物倉庫に隠された。だがナチスの監督官に見つかり、子供は別の所に隠された。ナチスはこれを機に一挙に囚人の抵抗組織を掃討しようと捕虜の二人を拷問するが、口を割らない。一方、抵抗組織の軍事委員会はひそかに武器を入手しながら蜂起の機を窺っていたが、ついに追求の手はその中の一人ピッピヒ(フレート・デルマーレ)に及び彼は惨殺された。緊迫した情況の下に子供をかくまうことがどんなに危険なことか。ナチスに具体的な証拠を握られれば、すべてが水泡に帰すことをよく理解していたし、救われる可能性のある人の命さえ危い。だが、囚人達は子供を守ることを決意した。子供はSSの執拗な捜索を逃れて所内を転々と匿まわれた。絶え間ない拷問にも口を割らない捕虜、追撃の連合軍と、SSの苦悩と焦慮は最早頂点に達していた。「皆殺しだ!」誰も微動だにしない。子供を守る連帯の力だ。次の瞬間、武器を手に手に持った各グループの囚人達の起ち上った喚声が湧く。長年欝積した憤怒は激しい突撃に変り、収容所は占領され、すすり泣きに混った歓声が衛門へ衛門へ、と殺到した。まぶしい太陽。「苦労させやがったな、このガキ--」嬉しい述懐であった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- フランク・バイヤー
- 脚色
- ブルーノ・アーピッツ
- 製作
- ハンス・マーリッヒ
- 撮影
- ギュンター・マルチンコウスキー
- 音楽
- ウイリー・シェーファー