白痴(1958)

劇場公開日:

解説

「シベリヤ物語」のイワン・プィリエフ監督・脚色によるドストエフスキー原作の映画化。これはその第一部にあたる。撮影は「シベリヤ物語」のワレンチ・パブロフ。音楽をニコライ・クリューコフが担当している。出演者はワフタンゴフ記念劇場のユーリ・ヤコブレフ、ユーリヤ・ボリソワの二新人に、K・ポロビコワ、V・パーシェンナヤ、ユーリ・ヤコブレフ、N・ポドゴールヌイ、R・マクシモワ、S・マルチンソン、N・パジトノフ、I・リュベズノフ等。

1958年製作/ソ連
原題または英題:The Idiot
配給:独立映画センター
劇場公開日:1959年2月7日

ストーリー

十一月のある朝、ワルシャワ発の列車でスイスから帰ってきたムイシキン公爵(ユーリ・ヤコブレフ)は、車中で二百五十万ルーブルの遺産をついだ男、粗野なラゴージン(ユーリ・ヤコブレフ)と知り合った。遠縁のエパチン将軍を訪れたムイシキンは、そこで将軍が長女のアレクサンドラを大金持トッキーに嫁がせようとしているのを知った。トッキーには孤児として養育し、今は妾にしているナスタシャ(ユーリヤ・ボリソワ)という女があった。彼女を将軍は、自分の秘書のガーニャと結びつけようとしていた。そして、ナスタシャは又、ラゴージンが心を得ようとして猛りたっている女でもあった。秘書のガーニャは、将軍の三女アグラーヤに計算高く目をつけていた。将軍の書斎でナスタシャの写真を見たムイシキンはその美しさにうたれた。ガーニャの家に下宿したムイシキンは、ガーニャの家族の前に現れたナスタシャをはじめて見た。そこに、ラゴージンも現れ、彼は巨額のルーブル紙幣を持ち出し、ナスタシャを買おうと申出たが彼女に一笑にふされた。その夜、ナスタシャの邸では彼女とガーニャの婚約披露宴が開かれた。そこに来たムイシキンの底知れぬ純な魂に感動したナスタシャは、自分のこの結婚の成否決定を彼にゆだねた。そしてムイシキンの言葉に従い、婚約を破談にし、トッキーに総ての財産をかえすと宣言した。その時、十万ルーブルを持ったラゴージンが現れて彼女に結婚を迫った。ムイシキンも彼女に結婚を求めた。おりから彼にも巨額の遺産が入ることが解った。しかし、ナスタシャが選んだ相手は、自分にふさわしいラゴージンだった。燃えさかる暖炉に札束を投げこみ、失神したガーニャにそれを与えたナスタシャは、狂喜するラゴージン達と吹雪の中にさった。狂ったようにムイシキンはそれを追った。

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