怒れ!タイガー

解説

清朝時代を背景に、貧しい少年が“空手”の名人に成長するまでを描く、香港製空手映画。製作はデイヴィッド・チャン・ジュニア、監督はハーマン・シュー、脚本はウー・ティ・ユイップ、撮影はオー・タツ・リュー、音楽はシュー・フク・リューが各々担当。出演はチャーリー・チャン、リー・フォン・ラン、ショー・ライ、ジン・フォーリー、イ・ボ・シャン、フー・チンなど。

1973年製作／香港
原題または英題：Martial Arts
配給：松竹＝富士映画
劇場公開日：1974年3月9日

ストーリー

清王朝が倒されて以来、世の中は戦乱の渦だった。シャウイン（Ｋ・チャン）が、母との長い逃亡生活の末、ある村に辿りつき、チョーという家に助けられてから、十年の歳月が流れた。その間、シャウインは、羅漢洞の老師の見守る中で厳しい空手の練習に明け暮れた。そんなある日、チョー（Ｓ・ライ）の屋敷に三人兄弟の暴漢が入り込み、金品を強奪した上、一人娘に襲いかかった。その場に駆けつけたシャウインはまたたく間に、三人の暴漢をぶちのめした。主人のチョーは、素晴らしい功夫として成長した彼の姿に驚ろき、娘との婚約を許し、さらにシャウインに修業のための路銀と紹介状を持たせて旅立たせた。数日後、ある町に着いたシャウインは、やくざにからまれている大道芸人を助ける。その見事な彼の空手に、若い鍛冶屋テンシャン（Ｉ・Ｂ・シャン）が弟子入りを申し込んだが、修業中の身だと、彼は断った。そんなシャウインを目撃していた若く美しい宿屋の女主人タンピン（Ｗ・チン）は、彼の強さに惚れ込み、宿に招待した。その夜、シャウインはタンピンの豊満な肉体にすべてを忘れた。二人はやがて同棲生活を始めた。タンピンから、この町が悪人に支配されていると聞いたシャウインは、そのボス、ル・ピョウに挑戦し、何なく倒した。そして、ル・ピョウに変わってシャウインが町を支配するようになったが、彼は村に残してきた母と婚約者のことが気になり始め、町をあとにした。シャウインのいなくなった町に乗り込んできたル・ピョウの友人ラオダ（Ｔ・Ｒ・ローマス）とボクサーのラオア（Ｊ・パットン）は、復讐のためにタンピンを殺してしまう。この報を聞きつけたシャウインは、二人に戦いを挑むが、さすがの彼も二人では敵わなかった。その日から、シャウインはタンピンの亡霊の中で酒と娼婦の肉体におぼれる毎日が続いた。一介の用心棒になり果て、堕落しきったシャウインの姿を見て、夢を壊されたテンシャンは、戦いを挑んだ。シャウインの弱点を、今までの戦いで見てきたテンシャンは巧みに彼の裏をかいて攻める。そのとき、母親と婚約者が二人は生き別れになっていた実の兄弟であることを知り、戦いの場に駆けつけた。だがときすでに遅く、決着はついていた。酒と女に狂った兄シャウインはすでに体力を失い、力果てていた。