赤手空拳(1973)

解説

この作品は、一九七三年四月末に撮影を開始して、クランク・アップまでに二ヵ月かかっている。普通、香港映画の場合、製作日数は一ヵ月以内だが、製作途中で、資金難のため一時撮影を中断している。結局、ショー・ブラザース(香港最大の映画製作・配給会社)に香港地区の上映権を前売りして資金を作った。こういうことは香港独立プロとしては珍しいことではなく、ただショー・ブラザースと関係をもった作品は、必ず“殺され”てしまう。というのは、ショー・ブラザースが買った作品を最も悪い時期の穴埋めとして興行するからである。

1973年製作/香港
原題または英題:Furious Dragon

ストーリー

大東亜戦争末期、嶺南の村々は、日本軍の手先になり村人に無理難題をふっかける土地の土豪の客豪に悩まされていた。丁天雄は八歳の時、眼の前で父を彼らに殺され、他人に告げ口できないように声帯を潰されてしまった。母は「お前はコトバを奪われたけれど、両手がある」といいふくめ天雄を逃がすが、その母もまた彼らに殺された。八年後のある日、木材商の呉大碗と鉱山の支配人の単眼馮七が死体で見つかった。二人とも日本軍と容の下で甘い汁を吸っていた。天雄の復讐がはじまったのだ。日本軍偵連隊長山本大尉の愛人白牡丹も殺され、残るは容と山本大尉の二人になった。天雄は容の一人娘の婉玉を誘拐して山に潜んだ。山本大尉は山狩りを始めたが逆に、天雄に殺されてしまう。そうしているうちに誘拐された婉玉が天雄に同情し、二人の間にはいつしか愛と呼ばれるものが芽生えていた。親の仇に私情をもっては決心がにぶる。そこで天雄は婉玉を家に帰した。ところが容豪は帰ってきた婉玉をエサに天雄をおびきよせワナにはめた。天雄危機一髪のとき、婉玉が天雄を救わんとして容と天雄の間に割り入るが、容の拳が……。容は自分の手で一人娘を殺してしまい発狂する。門外には日本軍が待ち構えており容は銃弾に倒れる。天雄は、一人山の隠れ家に戻り、婉玉とのほのかな恋を想い出していた……。

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