ラスト・クリスマス(1980)

劇場公開日:

解説

特異体質のため、生後八年間ずっと無菌室で成長してきた少年が、両親の亀裂を埋めるために自らの生命をなげうつというドラマ。「殺人魚フライングキラー」のオビディオ・G・アソニティスが製作、これが二作目のフィリップ・オットーニが監督にあたっている。アメリカでの実話を基にフィリップ・オットーニが脚本を書き、マリオ・ヴルピアーニが撮影、ステルヴィオ・チプリアーニが音楽を担当。スティーヴン・パワーが主題歌を作曲し、主演のスヴェン・ヴァルセッキが歌っている。出演はスヴェン・ヴァルセッキ、クリストファー・ジョージ、ゲイ・ハミルトン、マウロ・クーリなど。イタリアでの原題は、“Questo si che e amore”。

1980年製作/イタリア
原題または英題:The Last Night of Christmas Questo si che e amore
配給:東宝東和
劇場公開日:1982年12月4日

ストーリー

8歳のトミー(スヴェン・ヴァルセッキ)は、血液抗体欠落症という特殊体質のため、まだ外の世界にふれたことのない少年だ。どんな細菌やビールスにも無抵抗のため、ガラス張りの無菌室で成長した。部室の中にはベッドのほかに、テレビ、バスケット・ボール用のネット、スケートボードのできるスペースもある。親友のラリー(M・クーリ)も愛犬をつれて毎日面会にきてくれる。生活の不自由さはないが、両親とくらせないわびしさはひとしおだ。ママのグエン(ゲイ・ハミルトン)は染色家、パパのマイク(クリストファー・ジョージ)はテレビで人形芝居をやっている人気タレントだ。だが夫婦の仲は、トミーの誕生以来うまくいっていない。悲運の子供の出産は、グエンを地獄の責め苦に追い込んでいた。ついに二人は離婚を決意して、家庭裁判所を訪れる。だが、トミーには知らせたくないというのが、親としての思いやりだった。しかし、繊細なトミーは、両親の心の動きを察知した。パパとママはもう愛しあっていないのだ。その原因は僕なのだと、トミーの心は悲しみにしずんだ。翌日、マイクのテレビ番組を見ていると、視聴者から歌を募集していた。早速、トミーはパパに会いたい思いを歌にたくし、匿名で応募した。哀調を帯びたメロディに手紙をそえて、マイクの心は痛んだ。これがトミーの作品であることが、すぐわかったからだ。マイクが病院にかけつけた。でも、トミーの心は晴れない、両親の愛しあっている姿を見たかったのに。マイクは病院の帰りに、久しぶりにグエンと会い話しあったが、もはや二人の間の亀裂を埋めることはできない。グエンはトミーに離婚のことを打ち明けた。パパとママのためなら、死んでもいい。そう思ったトミーは、ラリーの協力で病院を抜け出した。トミーは外界の空気を初めて吸い、大喜び。昔、両親が愛しあったという田舎の家へ向かう。トミーの失踪を知った両親も田舎の家へ急ぐ。トミーの死期は近づき、やっとのことで写真で見なれたとんがり屋根の家についた。庭先にパパとママが出迎えてくれた。「ぼくがいなくなっても仲良く暮してね」とトミー。両親の腕に抱かれながら、トミーは永遠の眠りについた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

4.0最後のクリスマス

2023年12月31日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

先天的に抗体がないため、雑菌だらけの社会で普通の生活ができず、病院の無菌室で育ったトミー。パパは子ども向けパペットショーに出演しているので、テレビでは見られるが、あまり面会に来てくれない。ママは毎日のように来てくれるけど、なんだか悲しそう。どうもふたりは離婚の危機にあるらしい。トミーは自分に原因があると思い、両親を仲直りさせるため、行動しようとする。友達のラリーは彼を止めるが、結局トミーの意思を尊重し、協力するのだった。

トミー役の子は北欧系かな。サラサラの金髪にギター弾き語りができるなんて、男前〜。ラリー役の子はくるくる巻き毛にタレ目が、いかにもイタリア系、将来色っぽいお兄さんになりそう。タイトルロールを見てもイタリア語だし、出演者もイタリア人が多いけど、風景はイギリスっぽい。どういうこと?

トミーとラリーの道行きを観てるだけで、鼻の奥がツーンとしてきた。トミーが初めて肌で感じる「世界」。きっと輝いていたよね。それを見守り、支えるラリーの思い。けなげな子どもたちに泣けた。

BS松竹東急の放送を鑑賞。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ぷにゃぷにゃ

4.5トミーとラリーの友情+プルート

2023年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

8歳の少年 トミーは
血液抗体欠落症という特殊体質の為

生後から、病院のガラス張りの
無菌室で暮らし成長。
細菌に無抵抗なので
外の世界では過ごせないトミー

父親は、テレビ局で働き
マペットを操る子供番組の司会を担当
トミーは、その番組を楽しみに観ていた。

両親揃っての面会を願うトミーだが
父親は仕事が忙しく
来られないと母親から聞きがっかりするが
夫婦仲が悪いのは
自分のせいだと思うトミーだった。

実際、離婚を考え
家庭裁判所へも訪れていたが・・

トミーが無菌室で
ギターを弾きながら
メロディを奏で
匿名で、父親の番組へ応募
パパに会いたいという思いを歌に込めて・・

泣きました・・・。

そんなトミーには
友達のラリー少年がいて

ラリーは飼っている愛犬プルートを連れて
毎日のように顔を見せに来たり
看護士との会話も 自分を元気にしてくれる
存在であった。

クリスマスも近い ある日
掛けた電話で
両親が一緒に暮らしていない事を
知ってしまったトミーは
友達のラリーに頼み
病院を出て 昔 両親が住んでいた
田舎の家へ向かいたいと願うが
ラリーは、トミーの身体を心配し
断るのだが・・・
賢いトミーは、自力で脱出するのであった。

外へ出たトミーはラリーに会い
プルートも連れて
田舎の家へ向かう・・・。

次第に弱ってゆく中
両親を思う気持ちや
初めて外の空気に触れ 自然を見て
ラリーとの友情やプルートに触った感触も
少年の切ない表情を通し
見事に表現されていました。
トミーを思うラリー少年にも心打たれます。

「ラストクリスマス」
タイトルとあらすじだけで泣けてきますが
その通りの結末に・・

温かな暖炉の傍で
両親に抱かれ トミーは・・・。

BSにて鑑賞

コメントする 2件)
共感した! 4件)
LaLa

4.0ガラス張りの無菌室

2021年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 1件)
共感した! 2件)
kossy