野望の系列

劇場公開日:1965年4月27日

解説

アレン・ドルーリーの原作を、ウェンデル・メイスが脚色し、「栄光への脱出」のオットー・プレミンジャーが製作・監督した上院を舞台にした政界ドラマ。撮影は「栄光への脱出」のサム・リーヴィット、音楽はジェリー・フィールディングが担当した。出演は「西部開拓史」のヘンリー・フォンダ、「スパルタカス」の故チャールズ・ロートンのほかに、ドン・マレイ、ウォルター・ピジョン、ピーター・ローフォード、ジーン・ティアニーなど。

1961年製作/アメリカ
原題または英題:Advise & Consent
配給:A・T・G
劇場公開日:1965年4月27日

あらすじ

アメリカ大統領は、欠員の国務長官候補にレフィングウェル(ヘンリー・フォンダ)を指名したので政界は大さわぎとなった。彼は学者出身の腕ききだが敵の多い人物で反対者も多数いた。与党の総務マンソン(ウォルター・ピジョン)は大統領に忠告したが、逆に協力を求められた。ある夜、国際的な大パーティが開かれ、ハドソン副大統領は、マンソンに大統領の病状が思わしくないことをかたった。再開後の委員会は、レフィングウェルを招き聴問した。この時、ゲルマンという男から電報が入り、レフィングウェルが、かつて共産主義者の団体と接触があったと発表された。すぐにゲルマンは召喚された。ゲルマンはかつてレフィングウェル教授の生徒で、教授の友人モートンと共に、集会に出ていたことを証言した。しかしレフィングウェルの否定を、ゲルマンも認めたので、彼の立場は有利になった。ところがレフィングウェルは大統領を訪ね、委員会で偽証したことを告白、モートンとは財務省のフレッチャーであることを明らかにし、指名の撤回を求めた。しかし大統領の意志は動かなかった。一方、フレッチャーとモートンが同一人物であることを嗅ぎ出したクーリーは、フレッチャーを呼び出し、告白を強制した。告白電話を受けたアンダーソンは、マンソンに伝え、票決の延期をした。アンダーソンには軍隊時代、同性愛という過去があった。それをタネに、議長の席から彼を追い出そうとする脅迫電話が何度もかかり、ついに彼は自殺してしまった。脅迫の犯人はアッカーマンだった。大統領はアンダソンの死をいたみながらも、自分の健康状態がよくないことから、レフィングウェルの国務長官就任を望んだ。委員会は再開され、票決は二分した。この場合、副大統領の1票で可否が決定する。この時副大統領は、大統領の死を発表した。そして彼は新大統領としてマンソンに近づき、国務長官には新しい候補を指名すると語って協力を求めるのだった。

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受賞歴

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映画レビュー

4.5政治サスペンス社会派映画の傑作

2025年6月16日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

驚く

かっこいい邦題に惹かれて、いつか観たいと思っていた映画で、確かNHK-BSで観た。なぜか日本ではVHS化のみでDVD化や配信はされていない。

米国政界における熾烈な権力闘争をサスペンス・タッチで描いた社会派映画で、大統領が長官候補に指名した学者の適否をめぐる、賛成派と反対派の議会と裏面での熾烈な攻防を描いている。一応、ヘンリー・フォンダが主演となっているが、実際にはフォンダの役は狂言回しというかお話のきっかけになる人物に過ぎず、後半はほとんど登場しない。登場人物は全員架空の人物で、描かれる内容も全て架空の話だが、米国政界や議会の仕組みが上手く描かれていて、サスペンス風味のストーリーも鮮やか。赤狩りや同性愛など1962年の映画としてはかなり進んだ描写が盛り込まれており、米国の政治構造もよくわかる傑作である。

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