ムーラン・ルージュ(1934)
解説
「帰って来た恋人」「泥人形」と同じくコンスタンス・ベネットの主演する映画でベネットの20世紀映画者における第1回作品である。原作はフランスの同名の戯曲で「坊やはお休み」「ママはパパが好き」のナナリー・ジョンソンとかつて監督だったヘンリー・レーアマンとがそれに基づいて脚本を書き下ろしたものを「ダンス・チーム」「軟派ガール」と同じくシドニー・ランフィールドが監督した。ベネットを助けて「南風」「真夜中の処女」のフランチョット・トーンと「林檎の頬」のツゥリオ・カルミナティとが重要な役を勤めて出演する外、シアター・ギルドの重鎮ヘレン・ウェストレイ、「キャバレエの鍵穴」のホバート・カヴァナウ、ジョージ・レナヴェント等も助演している。映画中のレヴュー場面はラッセル・マーカートが振り付けしたもので、この場面には「ラジオは笑う」のボスウェル3姉妹、「キャバレエの鍵穴」のラス・コロンボが出演する。作曲作詞は「四十二番街」「ゴールド・ディガース」と同じくアル・ダビン、ハリー・ウォーレンの共作で、撮影は「春ひらく(1931)」「笑う罪人」のチャールズ・ロシャーの担任である。
1934年製作/アメリカ
原題または英題:Moulin Rouge
ストーリー
ヘレンはヴィクター・ル・メールのレヴュー付きの脚本家ダグラスの妻であるが、昔舞台に立ったことがあることとて、今度のル・メールの新作レヴューに出演したがっていた。が、ダグラスの方は妻が舞台に立つことには大不賛成で、その上ヘレンには才能がないと言い張っていた。で、この夫婦仲は揉めたり、また仲直りしたりしていたのだが、そうしている内に今度のレヴューの主役としてフランスから女優のラケルが招かれ渡米して来た。ところが、このラケルというのがヘレンと瓜2つの姿をしていて、昔はヘレンと組んで舞台に立っていたことがあり、ヘレンとは友達であった。で、またぞや夫と喧嘩して家出をしたヘレンがラケルを訪ねて裏情を訴えると、ラケルは初日の開くまでヘレンが自分の見川りをして舞台に立ち、そしてその時に己の才能を夫に知らせてやれ、といって、自分は同伴して来た若い燕と他所へ遊びに行ってしまう。そこで、ヘレンはラケルになるべく今までの黒髪を金髪に染め変えて天晴れラケルになり済したが、さて彼女が稽古の時に歌った歌は見事に夫のダグラスまでも感服させてしまった。で、ヘレンとしては夫に自分の才能を認めさせた以上もうラケルになっている必要はなくなったのであるが、ところが困ったことには、ヴィクターばかりかダグラスまでが自分をラケルだと思い込んで恋を仕掛けて来たことである。そこでヘレンはここで思いがけない夫を発見して、初めは驚いたが、次には悲しくなった。でも夫の心を試す唯一の機会だと相談対手のノリス夫人に教えられて、今度は自分から夫に積極的に近づいて行くと夫が本当にどうやらラケルの自分に陥落するらしい。で、ヘレンはますます悲しくなっている内に初日の晩が来てしまった。その時に本当のラケルは約の通りに帰って来てはくれたが、フランスから彼女の跡を追って来た元老院議員の夫にただちに楽屋から連れ戻されてしまい、どうしても行きがかり上、ヘレンが舞台に立たねばならなくなった。で、ヘレンはラケルとしてレヴューの舞台に立ったのだが、これが俄然、大当たりだった。一方、その間、ダグラスは妻とラケルとの間に色々と惑ったが、やはり妻を愛していることを自ら覚った。その上、更に実は舞台に立っているのはラケルではなくてヘレンだと聞かされて、大いに自らの不明をヘレンに陳謝に及んだ。で、この夫婦な家はまた昔の円満さに帰ったが、1人、ばかを見たのはラケルだと思ってヘレンに恋したヴィクターであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- シドニー・ランフィールド
- 脚本
- ナナリー・ジョンソン
- ヘンリー・レーアマン
- 撮影
- チャールズ・ロシャー
- 音楽
- アル・ダビン
- ハリー・ウォーレン
- 振り付け
- ラッセル・マーカート