火の女(1942)

解説

「育ちゆく年」の監督ヴィクター・サヴィルの製作。「フィラデルフィア物語」「ガス燈」「アダム氏とマダム」のジョージ・キューカー監督と、スペンサー・トレイシー=キャサリン・ヘップバーンのチームと云っても「アダム氏とマダム」「女性No.1」等のコメディではなく、悲劇である。I・A・R・ワイリーの小説から「フィラデルフィア物語」のドナルド・オグデン・スチュワートが脚色し、「裸の町」「ニノチカ」のウィリアム・ダニエルスが撮影を、「愛の調べ」のブロニスラウ・ケイパーが作曲を担当している1942年度作品。出演者は、トレイシーとヘプバーンの他に、「逃亡者(1944)」のリチャード・ウォーフ、「ヨーク軍曹」のマーガレット・ウィチャリー、「仔鹿物語」のフォレスト・タッカー、「我等の町」のフランク・クレイヴン、「卵と私」のパーシー・キルブライド、「夜霧の誘惑」のダリル・ヒックマン、「暗黒街の巨頭」のハワード・ダ・シルヴァ等が助演している。

1942年製作/アメリカ
原題または英題:Keeper of the Flame

ストーリー

ある闇夜、民主主義の偉大な指導者と仰がれる政治家ロバート・フォレストが嵐で壊された橋を渡り、自動車諸共事故死をとげた。日頃フォレストを尊敬する新聞記者スティーヴ・オマリーは、彼の伝記を書く材料を求めて葬儀に参列した。その折、未亡人クリスティンの従兄ジョフリー・ミッドフォードから、彼女に面会してはいけないと脅迫され、その後で故人の秘書クライヴ・カーンドンからは、彼女に面会はできないが種々資料を提供して便宜を計ろうと愛想よく云われた。スティーヴは諦めきれず、フォレスト邸を訪れたが、そのとき偶然、クリスティンに会うことができた。が、クリスティンは夫の話はできないと拒絶した。スティーヴは門番の息子ジェブと知り合ったことから、フォレストの老母が邸内に住んでいることを知り、彼女を訪ねた。老母は精神異常者だった。そして息子はクリスティンに殺されたのだと口走った。スティーヴは事件現場の橋の下でクリスティンが事件当日、橋の破損を知りながら故意に夫に報せなかった事実をつきとめた。スティーヴは、クリスティンが従兄ジョフリーと恋仲であるために夫を死に至らめたのだと思った。が、その誤解が解けたとき、再びクリスティンを訪れると、彼女はフォレストの書類を焼却しているところだった。彼に問われて、ようやくクリスティンは、次のような驚くべき事実を語った。フォレストは実は秘密ファシスト団体の首領だった。事件の当日、彼があるテロ行動の指導に出かけると知って、それを留めさせるため、彼女はわざと橋の破壊をしらせなかった。彼女は夫を尊敬する国民に失望を与えないため、証拠書類を焼くのだと云うのである。しかしスティーヴはフォレストの正体を曝き国民に警告することこそ必要だと説いた。そのときカーンドンが火を放ち、2人を殺そうとした。クリスティンはスティーヴの身代わりに射たれて死んだ。やがてスティーヴは「クリスティン・フォレストの生涯」という本を書き、フォレストの仮面をあばくと同時に、デモクラシーのかがり火を守った彼女の行動を讃えた。

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