戦場(1949)

劇場公開日:

解説

MGMの製作部長となったドーリー・シャーリーが自ら製作に当り「鉄のカーテン」のウィリアム・A・ウェルマンが監督した1949年度作品。共同製作者のロバート・ピロッシュが脚本を書き撮影はポール・C・ヴォーゲル、音楽はレニー・ヘイトンと新進気鋭のスタッフを揃えているほか、出演者も「ママは大学一年生」のヴァン・ジョンソン、「帰郷(1948)」のジョン・ホディアク、「芸人ホテル」のジョージ・マーフィー以下、リカルド・モンタルバン、マーシャル・トンプソン、ジェローム・コートランド、ドン・テイラー、デニーズ・ダーセル等の新人が起用されている。

1949年製作/アメリカ
原題:Battleground
配給:セントラル

ストーリー

1944年のクリスマスも間近の頃。米国第百一空挺師団のI大隊の兵隊は、ベルギーのバストーニュで、優勢なドイツ群の包囲をうけ苦戦していた。ジャーヴィス、ホーリー、ロドリゲス、「ポップ」、レイトン、アブナーたちは、ウォルウィッツ曹長の指揮する同じ小隊の仲間だった。クリスマスの1週間前この小隊は秘密命令の中にバストーニュに着き、ドニーズと呼ぶ娘のいる一家に宿営した。ホーリーは直ぐにドニーズと仲良くなったが、翌朝は更に前進命令を受けて、砲弾を浴びながら森の敵陣のすぐ前に塹壕を構築しはじめた。雪と寒気の中での仕事は思うようにはかどらず、しかも、濃霧のたちこめるバストーニュ付近は味方の飛行機の援護も受けられなかった。彼等は味気のない携帯口糧で腹を満たし、敵の攻勢を支えていた。しかし夜中秘かに味方陣地内に降下した独軍の落下傘部隊の撹乱戦術のため、何人かの兵隊が斃された。砲弾の唸音に精神錯乱状態に堕って壕より飛び出したベッツが死んだ。ロドリゲスも敵戦車に両足を轢かれた。ウォルウィッツ曹長も貫通銃創を受けて後退し、小隊はホーリーが指揮をとることとなった。霧は依然として晴れなかった。兵隊たちは絶対的な気持ちに襲われながらも応戦を続けた。翌朝は更に猛烈な独軍の攻撃が加えられたが、小隊の手榴弾による反撃により、独軍の小部隊を捕虜とした。その代りアブナーを失った彼等は交替の部隊に陣地をゆずって、バストーニュに引きあげた。兵隊たちはドニィズと再会して歓び合ったが、一夜の休養の後、前線に引きかえさなければならなかった。戦闘は依然はげしく続いた。百一空挺師団の兵隊の疲労はその極に達しているものの如くだった。独軍の軍使が降伏を勧告に来たが、もちろん交渉は物別れに終わった。独軍は包囲の鉄環をじりじりと狭めはじめた。彼等の総攻撃は火蓋を切って放たれたその時、霧の裂け目から機影が見えたかと思う暇もなく、独軍の陣地に機銃掃射を行なった。待ちに待った米空軍の出動だった。炎上する独軍戦車を見ながら、空挺師団は総員奮い立った。救急物資が輸送機から投下され、地上増援軍も相ついで到着した。1週間にわたる苦戦はいま、ところをかえて、独軍が最後力をふりしぼったルントシュテット攻勢はここに挫折の止むなきに至ったのだった。苦戦を終えたホーリー、ジャーヴィスたちは生涯に忘れることのできないクリスマスをバストーニュの街でむかえたのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

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映画レビュー

4.0戦場の日常

2020年10月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

派手さはないが地味な名作という印象。
1949年にこの映画を作ったことに驚き。
そりゃあ日本は負けるわな…。

兵士の「戦場」にいる姿を、日常生活や戦闘シーンも交えながら浮き彫りにしていく。
戦闘メインではないが、銃声や爆発音・効果などリアリティあるように感じる。

一部隊にフォーカスしているから戦争の全体像も戦術も分からないが、あくまでも「戦場」そのものの空気感を再現しようとしているように思えた。

寝床もままならなかった新入りが、戦場を経て肝っ玉が座ってくるのは成長なのか、適応なのか、鈍感になっているのか…。

3.4年に一回は観たい。

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うむぼんず

1.0兵士も普通の人間

2020年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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odeonza

3.0戦地での日々

2020年8月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アカデミー脚本賞、撮影賞(白黒)受賞作。

WWIIにおける第101空挺師団とBattle of Bastogneをメインに描いた作品。

1944年の出来事を1949年に製作開始。

自分達がどこにいるのかも分からない。
銃声だけを頼りに、霧に隠れた敵を撃つ。

CGのない時代だけあって、実際に爆破していると見られるシーンは、当時としては迫力ある方なのだと思います。

しかし本作はどちらかというと、派手な戦闘よりも、各兵士の凡庸さを描くことで、それまで父親として、夫として、息子として、ごく平凡に暮らして来た男性達が、見知らぬ極寒の土地で戦っている、ということを強調しているように思いました。体験談を元にしているだけあり、色々なハプニングも現実的で、”They Shall Not Grow Old”のWWIIアメリカ版といった感じでしょうか。前線でも生活はあるし、息抜きするし、冗談を言い合う。実際もこんな雰囲気だったのかなぁと。

映画“Battle of the Bulge”にも出て来たナッツの有名な話は、本作でも登場。

途中まで緊張感はほとんどなく、ドキドキハラハラを期待するような戦争映画ではありません。

この戦争は無意味ではないのだというアメリカ側の視点を凝縮した台詞は、牧師の口から…↓

“..... Was this trip necessary? Well, let's look at the facts. Nobody wanted this war but the Nazis. A great many people tried to deal with them, and a lot of them are dead. Millions have died for no other reason except that the Nazis wanted them dead. So, in the final showdown, there was nothing left to do except fight. There's a great lesson in this. Those of us who've learned it the hard way aren't going to forget it. We must never again let any force dedicated to a super-race, or a super-idea, or super-anything become strong enough to impose itself upon a free world. We must be smart enough and tough enough in the beginning to put out the fire before it starts spreading. My answer to the sixty-four dollar question is, yes, this trip was necessary. As the years go by, a lot of people are going to forget. But you won't. And don't ever let anybody tell you you were a sucker to fight in the war against fascism.”

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everglaze

4.0101空挺師団

2020年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

第二次世界大戦末期のヨーロッパ戦線、101空挺師団はベルギーでドイツ軍の猛烈な反撃にあい、しかも霧に阻まれ救援もままならず、次第に敗色の色を濃くしていた。
兵士たちの個性を描くことで、人間味を出している。
ヒーローのいない戦争映画で、戦場の荒々しさが胸に迫る。

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いやよセブン
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