四角いジャングル
劇場公開日:1956年2月4日
解説
題名の“四角いジャングル”はスポーツであるべき拳闘のリングも、時によっては野獣の殺し合う密林に変じるという意味で、若いボクサーを中心にリング生活の明暗を描いている。ジョージ・ザッカーマンのストーリィと脚本から、「ミズーリ大平原」のジェリィ・ホッパーが監督した。撮影は「凸凹透明人間のジョージ・ロビンスン、音楽は「ベニイ・グッドマン物語」のジョセフ・ガーシェンソン。主な出演者としては「顔役時代」のトニィ・カーティスが拳闘選手に扮する他「女性よ永遠に」の新星パット・クローリー、「マーティ」のアーネスト・ボーグナイン、「ジョニィ・ダーク」のポール・ケリー、ジム・バッカス、新人リイ・スノウデンなど。カーティスの拳闘相手にはスタント・マンから俳優に転向したジョン・デイが扮し、元ヘヴィ級世界選手権保持者ジョー・ルイスが客演として顔を見せている。アルバート・ザグスミス製作。
1955年製作/アメリカ
原題または英題:The Square Jungle
配給:ユニヴァーサル
劇場公開日:1956年2月4日
ストーリー
サンフランシスコ雑貨屋に働く若者エディ・クェイド(トニィ・カーティス)は、男やもめの父親パット(ジム・バッカス)と2人暮らしだったが、恋人ジュリー(パット・クローリー)に会うのを唯一の楽しみにしていた。だがある夜、エディはジュリーの父親から娘の恋人としての資格なしと嘲られ、しかも知り合いの刑事ジム・マクブライド(ポール・ケリー)から父親が酒場で喧嘩して拘留されたときいた。貧乏なエディには保釈金も払えず、やむなく彼は賞金つきの素人拳闘試合に飛び入りし、運よく賞を得た。父親は自分が昔バッキイ・グレノンと名乗る拳闘家だったことを打ち明け、マクブライド刑事もエディに拳闘家として身を立てるようすすめた。エディは父親の旧名をついで拳闘家になることを決意し、刑事に借りた金で元トレイナーのバーニー・ブラウン(アーネスト・ボーグナイン)の指導を受けた。バッキィ<エディ>はめきめきと上達し3年後にはミドル・ウェイト選手権保持者アル・ゴースキイ(ジョン・デイ)にシカゴで挑戦し、K・Oで世界選手権を得た。試合後のパーティでパッキィがローレン(リイ・スノウデン)という金髪娘と話していると、招きをうけたジュリーがやってきた。パッキィは彼女の父の嘲けりを忘れずジュリーを非難したが、彼女の父親が事業の失敗から自殺したのを知り、父親パットのとりなしで再び愛し合うようになった。ゴースキイとのリターン・マッチで、練習を怠ったパッキィはK・O寸前でレフェリーのディロンにゴースキイの勝ちを宣告されたが、パッッキィは余力を持ちながら負けたと憤慨し、ディロンに決定する時は2度考えろと言った。バーニーは“レフェリーが2度考えたらリングは四角いジャングルになる”と心配した。その晩の試合でパッキィがゴースキイに強打を与えたとき、ディロンは考え直して決定を延ばした。パッキィの再打でゴースキイは打ち倒され、再び栄冠を得たパッキィにも喝采は起こらなかった。パッキィは救急車で運ばれるゴースキイを見て身ぶるいし、雨の中を当てもなく車を飛ばした。その後をロレーンの車が追った。1週間後、ニュー・オリーンズの安酒場にいるパッキィを新聞記者がみつけ、父親パットとマクブライド刑事はロレーンと手を切ったばかりの彼をサンフランシスコに連れ帰った。心配した父親は書店主に戻っていたバーニーに事情を訴え、彼の計画で、ある夜ヘヴィ・ウェイト選手権の試合場に彼を誘い込んだ。ジョー・ルイスの挨拶に続いて漸く健康を回復したゴースキイがリングに現われ観衆の喝采を受けた。次いで彼の招きでリングに上ったパッキィを見るや観衆は非難の声をあげたが、握手する2人に怒声は歓呼へと変わった。パッキィは静かに引退の挨拶をした。客席にはジュリイ、パット、そしてマクブライド刑事が涙を浮かべながら微笑んでいた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジェリー・ホッパー
- 脚色
- ジョージ・ザッカーマン
- 原作
- ジョージ・ザッカーマン
- 製作
- アルバート・ザグスミス
- 撮影
- ジョージ・ロビンソン
- 美術
- アレクサンダー・ゴリッツェン
- アルフレッド・スイーニー
- 音楽監修
- ジョセフ・ガーシェンソン
- 編集
- ポール・ウェザーワックス