囁きの合唱

1919年製作/アメリカ
原題または英題:The Whispering Chorus

あらすじ

某大会社の会計ジョン・トレムブルは悪心の囁きに誘惑されて会社の金を盗み、逃れてヂェリコ島に潜む中溺死体を発見しこれに自分の衣服を纏わせ、自分がエドガー・スミスなるものに殺害されたように装う。一方家に残りしジョンの妻ジェーンと母のマーサは情ある知事ジョージに救われ幸ある日を送る中若き2人は恋に陥ち遂に結婚する。ジョンはある時は荷揚げ人足になって不具の身となりあるいは上海に遊蕩の日を送るが、故郷忘れじ難く我家に帰れば計らず母の死に逢う。そして警察の手に捕えられ皮肉にもジョンの殺害者エドガーとして法廷に立たせられる。妻のジェーンがジョージの妻となりしを見てその幸福を破らんと企てるが、良心の囁きに反省し、甘んじてトレムブル殺害の罪に服して刑場の露と消える。

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映画レビュー

救いなのか救いの無さなのか

2024年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 柳下美恵さんのピアノ演奏で観るサイレント映画、今回はセシル・B・デミル監督の本作。

 デミル監督と言えば、『地上最大のショウ』『サムソンとデリラ』そして何より『十戒』と言った大スペクタクル映画の監督と言ったイメージがあったのですが、それらは彼の最晩年の作品に過ぎず、キャリアの前半は多くのサイレント映画を撮っていたのです。

 本作は、公金を使い込んだ末に他人に成りすまして逃げた男の哀れな末路と救いを描いた作品ですが、「救い」と見えるところが「救いの無さ」にもなっている点が奥深さを増していました。その終盤で柳下さんの奏でるブロックのコードが切なく響きました。

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La Strada