最後の手榴弾

劇場公開日:

解説

残虐な殺戮と非情な戦争行為が繰り返される戦場の中で、味方のイギリス軍を裏切り、共産ゲリラの首領となって戦友を次々と地獄の底に落とした非情なる若き兵士と、数多くの部下を彼に殺され、復讐の鬼となって執念深く追跡する少佐との宿命的な対決を描く。製作は「大泥棒」のジョセフ・シャフテル。監督に「キャサリン大帝」「汚れた7人」を演出した弱冠35歳のゴードン・フレミング。ジョン・シャーロックの原作「グリグスビー少佐の試練」を新人のケネス・ウォーが脚本化、撮影は「ジュリアス・シーザー(1969)」のケン・ヒギンズ、音楽をジョン・ダンクワース、美術は新人のトニー・プラットがそれぞれ担当。出演はハリウッドのアンチ・ヒーロー・スター、「USAブルース」のアレックス・コード、「ナバロンの要塞」のスタンリー・ベイカー、「マジック」のリチャード・アッテンボロー、「007ゴールドフィンガー」のオナー・ブラックマン、ローマ・オリンピックの短距離の金メダリストで黒人のラファー・ジョンソン。他に、アンドリュー・キアー、レイ・ブルックスなど。

1969年製作/アメリカ
原題または英題:The Last Grenade
配給:松竹映配
劇場公開日:1971年6月1日

ストーリー

共産ゲリラの猛攻に孤立したハリー・グリグスビー少佐(スタンリー・ベイカー)指揮下の香港北東部にある小基地に、撤退させるべく救援にきた部下トムソン(アレックス・コード)のヘリコプターが到着した。かけよる隊員に突然ヘリから重機銃掃射が始まり、グリグスビーの絶叫も空しく、みるまに小基地は全滅してしまった。金のため寝返ったトムソンの非情な殺戮であった。数週間後、奇跡的に助かったグリグスビーは復讐を心に秘め、胸のわずらいのため、ロンドンの結核療養所にいた。そこへ英国高官アダムスからトムソン率いるゲリラ掃討を命じられ、1万5千ドルの報償金でもう1人の生き残り、マッケンジー軍曹(アンドリュー・ケア)以下4人の戦争屋たちを雇い入れ香港へ向かった。そこに駐屯する香港司令官ホワイトリー将軍(リチャード・アッテンボロー)は、グリグスビー一行を「金で引き受けた戦争屋奴!」と蔑視するが、復讐心に燃えるグリグスビーは、難民たちの集落からゲリラ捜索を始めた。しかし、司令官の妻キャサリン(オナー・ブラックマン)に拒絶され、グリグスビーは黒人戦争屋ジャクソン(ラファー・ジョンソン)と組み、山中へ行動を開始する。谷深く踏み込んだ一行は、トムソンの待ち伏せにあい、ジャクソンは倒れ、グリグスビーは囚われの身となる。が、グリグスビーは執念で脱走を成功させた。復讐に失敗したグリグスビーは街の酒場で荒れ狂った。止めに入った司令部副官クールソン中尉(レイ・ブルックス)を殴打して逮捕されるが、クールソン中尉の計らいで釈放されたところへ、トムソンたちゲリラが武器補給のために移動中であるという知らせが入る。やっとの思いで侵入したゲリラたちの集落で、戻ってくるはずのゲリラを待つが失敗した上、グリグスビーは結核が再発して入院してしまう。そこへ思いがけずキャサリンが訪問。なぜか病に伏すグリグスビーに魅かれるキャサリンは、静養所に移転したグリグスビーを追い、高原で2人の心は溶け合い、激しい愛に2人は落ち込んでいった。グリグスビーの心は、毎日復讐心と愛の中で葛藤するが、遂に復讐心を捨て、キャサリンと2人の生活の中に入っていこうと決心する。残された軍曹たちも皆去っていった。だが、グリグスビーたちの幸せも束の間、残忍なトムソンは、キャサリンをも消そうと計画。夫と離別して、新しい生活を望むキャサリンと、それを承諾する将軍を乗せた車はトムソンによって襲撃され、キャサリンは死亡する。将軍から悲報を聞いたグリグスビーは、狂ったように外へ飛び出し、ひたすらトムスン目指し山岳地帯へ走った。そのグリグスビーめがけてトムソンたちの機銃は火を吹き、グリグスビーはあえなく倒れる。しかし、真っ赤な血に染まって倒れたグリグスビーの死体に勝利の笑みを浮かべて近づいたトムソンの顔が一瞬恐怖にひきつるとともに、グリグスビーの手に握られていた怨みの手榴弾は爆発した。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5タイトル前の描写で度肝を抜かれる

2023年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

忘れもしない小学生のとき、ロードショー公開時に渋谷パンテオン劇場の大画面で鑑賞した。

当時としては考えられないような、映画冒頭から重機関銃による機銃掃射で、敵に寝返ってヘリから味方を大虐殺です、しかも笑いながら……
ほぼ異常者、異常を感じる残忍さです。

建物、施設は爆発して、人間も吹き飛ばされ、血だらけとか火だるまとか、それも自分は大型ヘリで上空を移動しながら浴びせまくる。
ほぼ皆殺しに近い。
(残忍さでは、ジャンゴのレンコン機関銃も霞みそうです。)

こんな酷い重機関銃の応酬は、我が最愛とも言える『ワイルドバンチ』以外で観たことが無い。
偶然なのか、このどちらも1969年の同年度作品。

しかし、『ワイルドバンチ』はこの時点ではまだ未観だったうえ、『ワイルドバンチ』ではそれがラスト最大の見せ場となっていて、あくまでも任侠的「仁義」や「お礼参り」「ケジメ」的だったのに対し、こちらは金で敵に寝返ってなドライでビジネスライクな理由で元の殆ど無防備状態の仲間をほぼ皆殺しですから、小学生にはその時点で理解不能状態、というか「なんだか、今まで観てきた映画とは違う….」と感じました。

一般的には割とストーリー的で、派手な描写や、極端に過激なイメージがしなかった当時のイギリス映画からすると相当異質で、マカロニ系でもあそこまで思い切ったのは多くは無いんじゃ無いかと。

一見、地味そうに見える出演者の顔ぶれも中々のモノです。

主演は『ナバロン』や『ゾロ』のスタンリー・ベイカー氏
『大脱走』や『ジュラシック』出演や監督としても有名なアッテンボロー氏
007GFプッシー・ガロアのブラックマン
リメイク『駅馬車』、後年『エアーウルフ』アークエンジェルのアレックス・コード氏
『SW•EP5』や『ユアアイズオンリー』のジュリアン・グローバー
オリンピック陸上金メダリストで『消されたライセンス』レイファー・ジョンソン
とか、相当な布陣だったんだなと、後年改めて思いました。

ストーリーの主軸は、東南アジアに展開して共産ゲリラと戦っているイギリス軍関係者と、それを裏切って壊滅に近い打撃を与えて逃げた裏切り者との執念の戦い、というか両者の間の異常な確執がもたらした結果、迎える「自分だけ抜けて幸せになろうったって、そうはさせないぜ…..」な結末です。

‘70年代には時々TV放送もあり、MGCからスターリングMark5が(一時的に)発売されたりとかもありましたが、近年はめっきり見かけなくなってしまいました。

我が国ではこれまでソフト化も叶わず、残念な限りです。

取り敢えずは、数年前に手に入れたアメリカ盤DVDで、時々思い出したように、何故か観たくなります。
英語音声以外に、英字幕も“CC “ も何も無いのがたまにキズですけど、無いよりかはマシかと。
画質も思ったよりかは酷く無かったのがせめてもの幸いか。

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アンディ・ロビンソン