決断

劇場公開日:

解説

西部小説家として有名なルーク・ショートの原作を、ダドリー・ニコルズが脚色し、「闇に響く声」のマイケル・カーティズが監督した西部劇。撮影は「最後の一人まで(1958)」のロイヤル・グリグス、音楽はハリー・サックマン。出演は「暗黒街の女(1958)」のロバート・テイラー、「ミシシッピ決死隊」のフェス・パーカー、「真昼の欲情」のティナ・ルイス、ジャック・ロード、シャーリー・ハーマー、ジーン・エヴァンス、ミッキー・ショネシーら。製作フランク・フリーマン・ジュニア。

1958年製作/0分/アメリカ
原題または英題:The Hangman
配給:パラマウント
劇場公開日:1959年9月9日

ストーリー

保安官ボバード(ロバート・テイラー)は法律のためには、情容赦のない男で“ハングマン”(死刑執行人)というアダ名がついていた。ボバードの探している犯人の1人にジョニー・バダーフィールドがいた。彼がノース・クリークに隠れているという情報が入った。彼の仲間はすでに捕り、処刑され1人残った男の処刑も近かった。この男がいないとバターフィールドの有罪を証明する者がいなくなるので、ボバードは懸命だった。彼はノース・クリークに向う途中、ジョニーをよく知っている美しい女シーラ(ティナ・ルイス)のことを耳にした。ボバードは彼女にノース・クリークまで同行してくれと頼んだ。彼女は断った。彼は500ドルお礼にやるといい、駅馬車の切符を残して立去った。ノース・クリークのシェリフは、ウェストン(フェス・パーカー)という若い男で、ボバードに強力を誓った。しかし、彼はこの町にそんな悪人はいないといった。ボバードは町の広場でジョニーの人相書に似た男をみつけた。ウェストンに尋ねると、彼はジョニー・ビショップ(ジャック・ロード)といい、評判がよく、町の人気者だった。町の人々は、町の平和をみだすボバードに反感を持ちはじめた。そんな時に、シーラがやってきた。ボバードはさっそくジョニーの首実検をさせた。が、彼女は彼がバターフィールドと同一人であることを認めたが、ボバードには違うといった。その夜、シーラはビジョップを訪ね、妻キティ(シャーリー・ハーマー)と町から逃げろといった。彼はシーラに強盗殺人犯の一味と間違えられたいきさつを話した。ビショップはある場所に馬を3頭用意しておくように頼まれ、そこで待っていると強盗を働いた3人がきて馬を乗りついだ。そこで自分がはじめて悪事の手伝いをしたことに気づいた。やむをえず名前を変えて、当地に身を隠しているのだと。ビショップの友達がボバードを襲って失敗した。彼はシーラの行動を責め、自分と彼女の腕を手錠でつなぎ夜を明かした。ビショップとキティが逃げた。ボバードは彼女と一緒に馬に乗って追いかけ、2人を捕まえた。留置されたビショップは、自分がバターフィールドだと認めた。町の人々の敵意はつのり、遂にビショップを救い出した。逃げるビショップに照準を合わせたボバードは、彼を逃がしてやった。彼は町の人々の友情と誠意にうたれたのだ。保安官のバッジをはずしたボバードは、カルフォルニアに帰るといった。シーラも一緒に行くといった。去って行く2人をウェストンはいつまでも見送った。

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映画レビュー

4.5人の心の機微

2019年11月18日
PCから投稿

興奮

幸せ

現代に置き換えても通じる話。
 あ、でも、逮捕=死刑のような、裁判はあれど、証拠をしっかり吟味するような過程のない頃だからこその話でもある。
 現代だったら、かえって裁判を受けた方が身の潔白を証明できる場合もあるけれど、この時代は、証拠を吟味することなく、陪審員の印象で罪が決まってしまう、恐ろしい頃の話。。リンカーン暗殺裁判を扱った映画『声をかくす人」でも、結論ありきの裁判だったっけ」

殺人者を憎む男。
 一抹の希望=人は信じるに値するものである、たとえお金を積まれても大切な人の気持ちを裏切らない人もいる、を信じたくて、何度も裏切られた男。
 そんな殺伐とした内面を抱えながら、街の住民の非難の眼・反抗的な態度の中、任務を追行できるのか。

恋した男に裏切られ、場末の重労働に従事している女。
 そんな環境から抜け出せる”蜘蛛の糸”のような美味しい話。
 女の行動。裏切られた腹いせを果たすのか。

容疑者。この街では誰も彼のことを悪くいうものはいない。
 果たして、ハングマンの見込み違いなのか、犯人なのか。

そんな三つ巴のハラハラドキドキがいい塩梅にストーリーを進めていく。

コメディタッチの老婦人。
杓子定規で緊張を孕んだ展開に、いい具合に適当さを加える保安官。
容疑者に遺恨を残す人物や、容疑者に心酔しているものまでが、かってに動き出し、
この先どうなるのか、ハラハラ魅せてくれる。

終始、杓子定規で、紳士然とし、実績があり、いつの間にか上から目線の言動が多いハングマンが、周りに振り回される様がおかしい。それでいて、最後は格好良く決めてくれる。

大金の報酬につられてきただけではないだろうと思わせる女ぶり、それでいて身なりを整えられない悔しさ・身の置きどころのなさをにじませ、その心の動きをたっぷり感じさせてくれる。そして彼女が選んだ行動は…。幸せを祈らずにはいられない。

”西部劇”というくくりの中では異論もでそうな気がするが、主人公とヒロインの攻防が緊迫したものであると同時にコメディで(笑)。

文句なしの一本。

(東京国際映画祭 屋外上映にて鑑賞)

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とみいじょん