鍵(1958)

解説

「空中ぶらんこ」についでキャロル・リードが自分のプロで監督した第二次大戦に材をとったロマン。オランダ作家ヤン・デ・ハルトグの原作「ステラ」を「真昼の決闘」のカール・フォアマンが脚色し、「武器よさらば」のオズワルド・モリスが撮影を監督した。音楽はマルコム・アーノルド。「戦場にかける橋」のウィリアム・ホールデン、「船の女」のトレヴァー・ハワード、「楡の木陰の欲望」のソフィア・ローレンが顔を合わせるほか、「アンナ・カレニナ」のキーロン・ムーア、「第三の男」のバーナード・リー、「戦争と平和」のオスカー・ホモルカ等が助演する。製作カール・フォアマン。

1958年製作/イギリス
原題または英題:The Key

ストーリー

第二次大戦中、英国は大西洋を横断してくる輸送船団の、ナチス空軍やUボートの襲撃による被害に悩んでいた。襲撃によって航行不能となった貨物船を、急行して、もよりの港まで曳航してくる曳航船の働きが、期待しうる唯一の対抗手段だった。無防備にひとしい小船に乗組む、曳航船々員たちの任務は危険この上ないものだった。1941年9月、イングランドのウェストポートにある曳航船基地に、かなだ軍籍の米国人デイヴィッド・ロス(ウィリアム・ホールデン)が、曳航船船長として派遣された。司令部で、彼は同じ船長をやっている旧友、クリス・フォード(トレヴァー・ハワード)に会った。自分の船が修理中のため、まずクリスの船に客員として乗ったデイヴィッドは、無謀に近い危険な仕事の内容を知ったが、驚く彼をクリスの部下ケーンは冷笑した。帰港するとクリスはデヴィッドを自分のアパートに誘った。その部屋、12号室には、ステラ(ソフィア・ローレン)という若く美しい女がいてクリスを迎えた。何か謎めいた雰囲気をデイヴィッドは彼女の周囲に感じとった。酒保で酒をくみかわしながら、クリスはデイヴィッドに語った。ステラはスイスから曳航船の船長と結婚するためにウエストポートにきた。しかし式の直前彼は戦死した。友人の船長ハルがその代わりに2人の入る筈の部屋を借りてステラと同棲した。ハルは、部屋の合鍵を作ってそれをクリスに渡し若し自分が戦死したらステラと暮らしてやってくれといった。そしてハルが戦死したあとに、クリスは彼女と同棲し、部屋を使っているのだと。酒保よりの帰途、クリスは12号室の鍵を、親友のデイヴィッドに渡した。デイヴィッドは1人、変な気持ちでホテルに帰った。明朝から、デイヴィッドはネーデルランド号を、老バン・ダム船長と交代で指揮することになった。米人の彼を警戒した乗組員も、試験航行での彼の手際に心服した。クリスと、ステラは結婚しようとしていた。しかし、その前夜、出航したクリスは再び帰らなかった。こんどはデイヴィッドの番だ。最初はステラの態度に怒りさえ覚えたデイヴィッドも、苛酷な任務に疲れ切った身体と心を、結局ステラに委ねた。デイヴィッドはステラと結婚する決心をし、合鍵をステラ自身に渡した。クリスマスの夜ステラは彼に愛を打ち明けた。しかし戦局は苦しく、任務はますます苛酷になっていった。結婚の前夜帰還の予期出来ぬ出発を前に、思わずデイヴィッドは、自分の鍵を通りかかったケーンに託した。海上での戦いで、炎上した船をUボートに体当たりさせたデイヴィッドは、海中に脱出した。その頃、無電をうけたケーンは、デイヴィッドの鍵でステラを訪れていた。からくも援助の船に救出されたデイヴィッドはステラのもとにかけつけた。しかし、ステラの口から出たのは、「出ていって!」という言葉だった。ステラは1人でウェストポートを発っていった。出発の汽車にデイヴィッドはかけつけたが、間にあわなかった。「かならずロンドンで彼女を探し出してみせる……」とデイヴィッドは自身にいい聞かせた。

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