エジプト人

劇場公開日:

解説

「キリマンジャロの雪」のダリル・F・ザナック自ら製作する古代エジプト王朝史劇で、フィンランドの作家ミカ・ワルタリの小説より「ディミトリアスと闘士」のフィリップ・ダンと「西部の2国旗」のケイシー・ロビンソンが脚色、「ホワイト・クリスマス」のマイケル・カーティズが監督に当った。撮影は「壮烈カイバー銃隊」のレオン・シャムロイ、音楽は「地獄と高潮」のアルフレッド・ニューマンと「悪の花園」のバーナード・ハーマン。出演者は、「アンドロクレスと獅子」のジーン・シモンズ、「ディミトリアスと闘士」のヴィクター・マテュア、「街の野獣(1950)」のジーン・ティアニー、「熱砂の舞」のマイケル・ワイルディング、「地獄と高潮」のベラ・ダーヴィ、「クオ・ヴァディス」のピーター・ユスチノフ、新人エドモンド・パーダム、ジュディス・イヴリンら。

1954年製作/139分/アメリカ
原題または英題:The Egyptian
配給:20世紀フォックス[極東]会社
劇場公開日:1955年1月14日

ストーリー

紀元前1370年頃、エジプト第17王朝。テーベの都に住む若い医師シヌヒ(エドマンド・パードム)はナイル河に流された棄子だったが、有名な医師に引き取られて育った。彼は多神教に疑問を持ち、神は1つであると固く信じていた。ふとしたことから片眼の男カプター(ピーター・ユスチノフ)を召使いとし、また酒場の女メリト(ジーン・シモンズ)に慕われるようになっているシヌヒは、軍人志望の友ホレムヒブ(ヴィクター・マテュア)と獅子狩に出かけ、獅子に襲われている一神教の予言者アクナトン(マイケル・ワイルディング)を救ったが異端者を助けた者として投獄された。が、数日してアクナトンは新国王の位置につき、シヌヒは黄金の首飾りを贈られ、ホレムヒブは近衛隊長に任命された。やがてホレムヒブは王妹バケタモン(ジーン・ティアニー)に心惹かれ、満たされぬ望みのはけ口を求めてバビロニアの女ネフェル(ベラ・ダーヴィ)の宴会に行った。シヌヒも宴に招かれ、彼女の魅力に負けて自分の財産を与えて関心を買おうとし、彼を慕うメリトを驚かせた。バケタモンはホレムヒブをそそのかしてネフェルに贅沢な贈物をさせ、シヌヒから離れさせようと企てた。ネフェルの変心を知ったシヌヒは怒って彼女を溺死させようとさえした。やがてシヌヒの養父母が自殺した。彼は自責の念にかられ、90日間謹慎して亡骸を丁寧に葬った。数年後、テーベの都は異民族ヘテ人の侵略の前に曝されていたが、太陽神を凶信する国王アクナトンはなすすべを知らなかった。シヌヒはメリトが彼の息子を生んだのを知り、彼女と会って長い放浪ののちはじめて人生の幸福を味った。シヌヒは国王の狂った頭脳の治療を命じられたが、バケタモンから自分が先王の子で彼女とは腹ちがいの兄妹であることを知らされ、アクナトンとホレムヒブを毒殺しようともちかけられた。シヌヒは一旦拒絶したが、メリトが太陽教徒に殺されたのに怒り、ついにアクナトンに毒を盛った。国王の死後ホレムヒブはバケタモンと結婚して王位につき、異境に流されたシヌヒは余生を送りながら、回顧録を執筆した。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

4.0この邦題じゃ興味をひかれない・・・

2018年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
kossy

4.0波乱万丈の人間劇

2013年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:80点
ストーリー:85
キャスト:80
演出:75
ビジュアル:65
音楽:65

 純粋に貧困層のために尽くそうとしたシヌヒが、悪女の虜になって身を崩して心に傷をおっていく様子が痛々しく、そんなになった彼にまだ無償の愛を注ぐメリトが心に響いた。その反動で変わっていくシヌヒと、それでも祖国を忘れられない郷愁の念を持ち、遂には王朝の動乱に関わっていく波乱万丈の物語は壮大だった。純粋から堕ちていって金満主義になり、またそこから信念を取り戻していく変遷が面白い。

 野心を持ち有能な友人のホレムヒブや悪女のネフェルもいいのだが、片目の奴隷のカプターが特に気に入った。この嘘つきというか要領の良すぎるやつというか、どんな立場に追い込まれても都合のいい言葉が次々に出てくる交渉術のうまさには目を見張るものがある。それなのに最後まで主人には忠誠を尽くし最後まで裏切らない。彼の過去にはかなりの不幸もあっただろうに、それを表に出さず、主人の危機にもめげずに彼を助けて一緒に世界を放浪する。片目になった理由は次は何が出てくるのだろうかと期待させてくれた。

 金をかけた様子はするのだが、多くは外ではなくスタジオで撮影したというのもわかってしまう。セットにいかにもな作り物感があった。古い映画だけあってこれは仕方がないだろうし、このあたりにはあまり多くを期待してはいけない。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Cape God