命を賭ける男(1930)

解説

「レヴュー結婚」「恋の素顔」等出演のウィリアム・パウエル氏のスター昇進第1回主演映画で、「支那街の夜」「暗黒街の女(1928)」のオリヴァー・H・P・ギャレット氏が原作並びに台詞を執筆し、「ヴァージニアン(1929)」「恋の素顔」のハワード・エスタブルック氏が脚色し、「巨人」「踊る人生」のジョン・クロムウェル氏が監督し、「半分天国」「恋の素顔」のチャールズ・ラング氏が撮影したものである。助演者は「恋の素顔」のケイ・フランシス嬢、「半分天国」のジーン・アーサー嬢、「青春の幻想」のレジス・トゥーミー氏、スタンリー・フィールズ氏、ジョン・リッソ氏等である。

1930年製作/アメリカ
原題または英題:Street of Chance

ストーリー

ジョン・マースドゥンは表面株式仲買人として事務所を持っていたが、彼こそニューヨークきっての大賭博師でその仲間うちでナチュラル・デーヴィスといえば誰知らぬ者もなかった。彼は賭博で得た金で妻アルマと贅沢な生活をし、カリフォルニアに居る弟のベーブには大学を卒業するまでちゃんと仕送りをした。そしてベーブがジュディスという娘と結婚した時にはお祝いとして1万ドルを贈ってやった。彼はかくの如く妻や弟を愛していたがポーカーで大博奕を打つことはもっと好きだった。彼は然しイカサマを一切しなかった。彼の仲間でイカサマをすると其の罰には死が與えられる掟であった。アルマは夫を愛していたが賭博師を夫としては如何に贅沢を許されるにしても真に楽しい夫婦生活は到底出来ないことを痛切に感じて離縁話を持ち出した。ジョンはそれを思い止まらせることに成功したが、其の代りにアルマが言うとおり賭博をやめて田舎へ移住することを約束せねばならなかった。一方弟のベーブは兄のジョンが有名なナチュラルであることは知らなかったが矢張り賭博好きで兄から贈られた1万ドルを元手にして5万ドルの金を博奕で作った。図に乗ったベーブはナチュラルと手合せをしたくなり、ジュディスと共にニューヨークへやって来た。ジョンのナチュラルは丁度博奕を止める決心をした矢先きでベーブに博奕打ちを思い切らせようと試みたが、弟が肯かないので懲らしめて博奕を止める気にさせようと考えて、博奕打ち仲間のドーガンやニックにベーブを負かして呉れと頼んだ。ところがベーブは酷く運がよくて勝ち続けたのでドーガン等はナチュラルに一杯食わされたのではないかと疑い始めた。その事を知ったジョンは自ら出動した。ベーブは名高いナチュラルが兄だと知って驚いたが運は彼を離れず流石のナチュラルもベーブを負かすことが出来ない。仕方なく最後の手段としてナチュラルはイカサマを行った。ベーブは名高いナチュラルもイカサマ賭博師だったかと侮蔑し、一生博奕はしないと言って去った。弟が賭博常習者となることを救うことに成功したナチュラルのジョンは掟通り銃殺された。

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