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もう少しのところで、この作品見逃してしまうところだった!でもギリギリセーフで観て良かった~絶対に損はしません。大当たりって感じでした。
私の記憶の中では、映画のヒロインが彼氏と結婚した後で、夫となった彼氏の子供を妊娠したことで起こる様々な生活の変化や、妊婦さん特有の体調の変化に着いての不安や不満などを描いた映画を観た気がない。
今唯一思い出すのは、ヒュー・グラントとジュリアン・ムーア主演のコメディー映画の「9か月」くらいだろうか。
「9か月」でも妊娠から出産までの9か月の間に起こる変化を、この2人ならではの、コミカルに描いたコメディーならではの軽い感じのエピソードで綴っていたけれど、この「理想の出産」が描いているような、激しいマタニティーブルーを真正面から描いた映画を観たのは初めてのような気がするのです。
本当にこの映画を観ていると驚きの連続で、こんなに精神的にも揺れ動くの?と可笑しいやら、申しわけないやら、何とも不思議な気持ちに翻弄されそうになる。
男である私には、出産を永遠に経験する事は出来ないし、前世の記憶も持ち合わせていないので、妊娠中の女性の心理は全く見当の付かない事だった。よくも本当にこーんな苦労の末に人は生命を繋いできたものだと、人類の歴史へも想いを馳せる。そしてこの試練を受け継いで来た女性の皆様のお蔭で、今日の人類が存在していると感謝したくなった。
陣痛の痛みも、男性には絶対耐えられないとよく言われている。
この映画は、10代20代の若いまだ子供のいない人に特にお薦めかもしれない。
しかし、流石にこの映画の観客は私の他には男性客は一人だけで、ほかのお客様は全員が女性でしたので、是非男女一緒に観る事をお薦めしたいけれど、一緒に観るのは気まずいのなら、別々でも良いから、女性のみならず、男性にも共に観て欲しい作品です。
子供が居ない人でも、少なくとも、自分は母親のこんな苦労の末に生れて、育ってきたのだと言う普段は忘れがちのこの事実を改めて想い起こされるのだ。
裸でお金も持参せずに誕生してきた自分を成人まで育ててくれた両親にとても感謝したい。
最近家族間での殺傷事件なども報道されるけれど、みんな新しい生命がこの世に誕生した瞬間の事を想い起こしたら、あのような悲惨な事件は起こらない筈だよね。
赤ちゃんは、本当に24時間まった無しに手間が掛るのだが、この映画のヒロインのバルバラもあまり実母との仲が良くなかったが、子供の世話をして貰う事で心が通い合うようになるシーンは感動的だった。そしてもう一つ、赤ちゃんの世話の厳しさに押し潰されそうになったバルバラが夫のニコラと一時別居するときも、夫のニコラが子供を手放さないで、自分が会社へ行きながら子育てをしたのも、立派だなって感心した。最近ではイクメンが注目され男性でも育児休暇を会社にお願いする人もいるそうだが、実際にどの程度仕事と子育ての両立をする事が今の日本の社会で可能なのか?これはフランスなので事情がちがうだろうが、しかしニコラもビデオ屋勤務で、何時の日かタランティーノの様に映画監督になる事を夢にみて仕事をしてきたけれど、バルバラの妊娠を期に、ビジネスマンに転向した。家族のみんなが小さな命の為に協力して一つになって行く姿を目の当たりにするのは微笑ましく嬉しい限りだ。きっと生きている事に思わず幸せを感じられる、そんな気持を誘ってくれる作品だった。