キャプテン・フィリップスのレビュー・感想・評価
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虚しい真実
これは本当に凄い映画でしたね・・・。
面白いとか楽しいではなく、ただただ凄い・・・そしてやるせないとしか言い様が無い映画でした。
それと、とにかく全編に渡って張り巡らされた緊張感が半端じゃなくて、見終わってドッと疲れが出てしまいましたよ。
ポール・グリーングラス監督作だったので、単純に勧善懲悪であったりアメリカ万歳を描いた作品ではないだろうなと思ってはいましたが、まさかここまでリアルに描かれた作品だったとは・・・いやはや参りました。
これは変に外野の描写を入れなかったからこそ、よりリアルを感じれたのでしょうね。
貨物船をソマリアの海賊が襲い、そこで人質に取られた船長を苦難の末に救助する・・・そこだけに固執したからこそ、とにかく集中してコトの成り行きを見守ることが出来たのでしょう。
しかもエンタメ的な演出をしなくとも、救出される側だけでなくソマリアの海賊側にも感情移入できるよう作ってしまうのですから、これは本当にお見事としか言い様がなかったですね。
それにしても、なぜ彼らは海賊にならなければいけなかったのか・・・それを考えてしまうと、胸が締め付けられる思いで一杯になってしまいますね。
もし彼らが平穏に漁業を営める環境にあったなら、こうはなって無かった訳ですから・・・。
経済支援だけが善じゃない、そんなことをこの映画を見て深く考えさせられてしまいました。
トム・ハンクス(フィリップス船長)・・・アクション映画に出てくるような船長ではなく、ただただ一般人な船長でしたが、でも間違いなく頼りがいのある船長でしたよね。
まあ何かしでかそうとする度に、相当ヒヤヒヤとさせられはしましたが(苦笑)
ハンクスはこう言う微妙なラインを演じるのが本当にうまい!
特にラストの演技は本当に秀逸でしたね。
キャサリン・キーナー(フィリップスの奥さん)・・・登場シーンは序盤だけでしたが、ほんの少しの描写だけでこの夫婦のバックボーンが想像できてしまう辺りは、さすがの存在感でした。
マイケル・チャーナス(シェーン)・・・フィリップス船長の右腕的存在として、なかなかいい味出してましたね。
特に調理場でのシーンは、いい感じに盛り上げてくれました。
ソマリア海賊の4人(ムセ、ビラル、ナジェ・エルミ)・・・アメリカ映画にありがちなテロリスト=エイリアンのような描き方ではなく、ちゃんと皆一人の人間として描かれていたところに物凄く好感が持てました。
勿論彼らのしでかしたことは褒められたことではないし、間違いなく罪は罪なのですが、彼らの人生模様が本当に切なくて切なくて・・・。
特にリーダー格の男(中日のネルソン似の男)が夢を語ったところと、まだ少年の男がフィリップスに気遣いを見せた部分が、何故かとても印象に残りました。
普通の人質救出物は、最後物凄く爽快感を感じたりするものなんですが、この映画は虚しさ溢れる感情しか残りませんでした。
この苦味こそが真実・・・と言う訳なんでしょうかね。
こんなことが起こらない世の中を望みたいものですが・・・何か最良の策は無いものなんでしょうか・・・。
男たちの戦い
印象的だったのは最後の方のシールズたちの「楽勝なミッションだ
ったな」的な撤収シーンを見たとき感じた無情感でした。
ソマリアの海賊役の方々んの演技と迫力すごくよかったです。
とてもよかったです!
泣いた…
緊張感のある映画
全然面白いじゃん。予告編と違い。
予告編観て「ま~たトムハンクスの泣く映画か」、と思ってまったく観る気もなかったのだけど、東宝のサービスデーなので試しに、と観たら全然面白かった。予告編、何度も観たけど、本当に興味も引かなかったので、大失敗の宣伝チームだよな。だいたいなんでも日本人なら「感動作にみせたほうがいい」としようとする、というか感動作を押してヒットを狙おうとする配給会社の考えが浅ましい。本当に嫌い。
で、みたら「アルゴ」とためはる実録ハラハラ映画だった。確かに最後の救出後のトムハンクスのここが見せ場だ、というひと芝居はいいのだけど、これは地味に堅実に宣伝して欲しかった。地味でいいではないか。
しかし、ソマリアの海賊連中、いい味出してたな。目、ひんむいて、まじ怖かった。
あの船に飛び移るところの目撃目線のカット、いいな。こえ~って感じ。
「look me! lookme!」リアルな演出が、 と役者さんの演技が、見所!
緊迫感の後の脱力感
終始緊迫感!
トム・ハンクス演じるフィリップス船長の気持ちに入り込んでしまいました。
海賊の一人が、やたら銃撃しようとして頭悪いなってイラっとして海賊のボスの気持ちになる瞬間もあったりしましたが(笑)
とにかくハラハラドキドキであっと言う間の時間でした。
船長が米海軍に救助されてメディカルチェックを受けている時の、女医の優しい語りかけに私まで脱力感と安堵の涙が出てしまいました。
あの女医さんも私の中では大きな存在でした。
この緊張感ハンパない!
すごい!なにこの緊張感! 『ボーン・アルティメイタム』以上なんですけど!!
この映画は予告編のイメージとは違います。要注意!
いい意味で裏切られました。ボーンシリーズのグリーングラスが帰って来ました!
この映画、全編通して、目が離せません。特に後半30分は、私、体に力入り過ぎて、首の筋肉痛になりました。
更に更に、ラスト数分間・・・・我らのトム・ハンクスは、誰もやった事がないレベルの演技をします。その瞬間、ちょっと私、今までに経験のない、ただの感動ではない、ハッキリとは意味のわからない・・・・そんな涙が出てきました。人間って素晴らしいなあって!生きるって素晴らしいなあって! ただそんな涙です。
グリーングラス×ハンクスの初コンビ、大成功です。とんでもない映画を観てしまいました。予告を見て、感動のドラマを期待してデートムービーとして観てしまうと、危険ですよ。
グリーングラスの高まる演出の技、それに応えるハンクスの演技・・・レベルが違います。
もっと短くなるのでは?
救命艇に乗ってからが長いです。話を引っ張った割には何も起こらず肩透かし。期待が大きかっただけに残念感が。もう一度見るかと言われたら、お金を払っては観ないと思います。
アクロイド撮影監督の手腕にも注目。執念の映像。
ポール・グリーングラス監督は、襲撃から占拠、拘束、救出までをリアル感あふれるドキュメンタリータッチで描きだしました。事件勃発から解決まで、微塵も緩みを感じさせません。その間ここぞとばかり打ち鳴らされる効果音の使い方がも緊迫感を押し出して、上手いのです。その手法は『ボーン』シリーズと共通のものだと感じました。『ボーン』シリーズを振り返っても尋常ではない臨場感は、グリーングラス監督ならではでしょう。
トム・ハンクスの熱演もさることながら、対する海賊役の黒人たちもハンクスに役負けしない、目を血走らせて脅す悪役ぶり。そんな彼らは全員皆演技未体験ということをあとから知って驚ろきました。なかでも海賊の中でも英語が話せる船長のムセとフィリップスとの船長同士の心の探り合いの細密さが素晴らしかったです。
ハンクスの熱演のなかでも、圧巻はラストに魅せる感極まった言葉にならない恐怖感を滲ませるフィリップス船長の表情が凄い!ここぞという大熱演でした。
そしいて後半登場する米軍駆逐艦による軍事力、情報収集能力を前面に出しての救出劇は圧倒的。まさに今そこで、人質救出劇を目撃しているかのような気分に浸れました。
迫真の映像はバリー・アクロイド撮影監督の手腕に負うところでもあるようです。この人もドキュメンタリー志向が強い点でグリーングラス監督と共通しています。これから本作を見る人は、海賊たちがコンテナ船に乗り移るシーンに注目してほしいのです。広角から望遠レンズまで自在に使ったカメラのダイナミックな構図。時に海側から遠望するシーンや揺れ続ける救命艇のシーンでは、手持ちカメラが波に揺られても極限まで手ぶれを押さえた撮影法。あれってグリーングラス監督が船酔いしながらも、ぶれてなるものかとカメラをのぞきつけという執念の賜物なんです。「見える物は映る」されど…という監督の信念を感じました。そして何より、刻々変化する太陽の動きに合わせてコンテナ船の位置を変え、光源の角度を一定に保って船内撮影するなんて、凄いこだわりだと思います。
さらに救命艇を制圧する無灯火航海中の米駆逐艦が巨大な戦艦に見まがうほどの、圧倒的に見せつける存在感も凄かったです。海賊どももあれではヒビリまくるのは当然でしょう。
物語は2009年、オマーンからケニアに向かうアラバマ号にフィリップス船長が乗船するところから始まります。
海賊対策の訓練をやっている最中に、本当にソマリア人の海賊4人が乗ったボートが猛スピードで追尾。一度は振り切ったものの、再度襲撃してきた海賊は高ハシゴを用意して、アラバマ号に侵入し、操縦室の乗組員に銃を突きつけ、高額の金を要求します。
船長の指示で20人の乗組員は、船尾の機関室に隠れるものの、海賊たちは船内に隠れた他の乗組員を探し始めるのです。
前半は乗組員と海賊たちのの大型船内でのバトルがスリリングに展開しました。
後半は、乗員の身の安全と引き替えに人質となったフィリップス船長を交渉材料に、何とか身代金を奪おうと船長を乗せて救命艇でソマリアに向かう海賊らとの一触即発の状況が続きます。狭い艇内での息詰まるようなフィリップスと海賊とのやりとり、米海軍に包囲されいらだちを強くしていく海賊同士のいさかいなど、臨場感あふれる映像で全く飽きさせない展開でした。
やや疑問なのは、海賊対策の放水シーン。1箇所だけ放水の向きが違っていて、そこから易々と海賊たちが侵入してくるのですが、その直前に訓練していたのだから、どうして気づかなかったのでしょうね?
評価したいのは、襲撃から救出まで核心の部分にグッと濃縮して描いているところです。グタグダと後日談など上陸後の話を入れていません。ただ冒頭にワンカットで、フィリップス船長と妻の会話を挿入しているシーンは、円熟した夫婦関係を感じさせて、ラストのフィリップス船長の生還への強い思いにいい伏線に繋がりました。
印象的なのが、海賊の4人が犯行に及ぶまでを追ったシークエンス。実は彼らは、何度もアルカイダではないと主張しているように、テロリストでも根っからの海賊ではなく、小さな漁村を訪れたギャングにスカウトされた若い漁師だったのです。内戦続きで無政府状態となった結果、ソマリアの漁師たちは貧しさに追い詰められて、止むを得ず海賊になってしまったのです。そんな描写に、ソマリアの混乱が浮かび上がってきます。つまり悪の海賊と罪なき船長という単純な善悪ではないのです。
そんなちらりと見せる現代の世相を滲ませるところが、ジャーナリスト出身という経歴を持つ、グリーングラス監督ならではの演出ですね。
ついでにいえば、日本の船舶はソマリア沖でたぶん米軍のご厄介になっていることでしょう。本作見たら、自衛隊の海外派兵の必要性も強く感じるのではないでしょうか。
ソマリアの現実。
描かれた事件がニュースになった時のことは覚えている。
当時、映画ではジョニデのパイレーツ…なんかが流行っていて、
「ホンモノの海賊が存在した!?」のような文句が並んだが、
実際の事件はとても笑事や吃驚ネタで終わるものではなかった。
さすがP・グリーングラス。今回も緊迫感たっぷりで描いている。
今作を観ている間、なぜか目には涙が溢れて仕方なかった。
いつ誰が殺されてしまうのか分からない、という恐怖よりも、
ソマリアの現実、彼らの貧困度が背景に見えてしまうのが辛い。
今作では船長側と海賊側、それぞれの準備段階を並行して描き、
船長が乗り込む当日、妻に「これからはサバイバルだ」という
メッセージを残す。まさにその通りになるのが怖いところだが、
実は貨物船側はすでに「海賊の脅威」を察知していたのが分かる。
なぜ危険を冒してそんなルートを!?と思わなかっただろうか。
船会社には今も訴訟が続いているらしく、経費削減で危険海域に
救援物資を積んだ貨物船が一隻だけ、武装もしていないのだから、
これは狙われるのは当然。「まさか」と甘く見積もった点が多い。
海賊に乗り込まれてからは、まさに一触即発。船員はあくまで
海賊に見つからないように、船長は海賊の気を逸らし、なんとか
船と船員を守ろうとするが…。何しろ怒号と緊張が飛び交う場面
の連続になるので、船長が人質となってボートに乗り込むまでは
怖くて怖くて堪らない。誰か殺されても不思議でない状況なのに
海賊が実は漁師だった、まだ子供だった、というのを垣間見せて
「彼らに殺人の意思はない」ことを明確にする。ほぼビビリながら
銃を向けている海賊を見る船長の「できればお前らも助けたい」と
いう思いがT・ハンクスの顔にアリアリと描かれる。
何か手立てはないか。双方が助かる道はないか。問題はそこだ。
最後に軍が乗り出してくれば、もう助かる見込みのない海賊達に
船長は最後まで説得を続ける。救援物資を届ける仕事の船長が、
ソマリア人の虐殺など望んでいないことが分かる場面だけに辛い。
大金を手にしたら夢にまで見たアメリカに行くんだ、などと語る
痩せ細ったムセというボス。知力も体力でも勝る米海軍が一人の
船長を救出するためにとった作戦とその終結には、やったー!!
なんていう胸の梳く状況はなく、船長の嗚咽ばかりが響き渡る…。
考えさせられるシーンが幾つも挿入された、観応えある作品。
後半の救出シーンがやや長くてダレるが、あとは恐怖の連続。
ハンクスの演技は賞に値するほど素晴らしく、彼の表情が流れを
支配するくらい緊迫感を醸している。あの号泣が頭から離れない。
(海域警備は厳しくなったらしいけど、貧困格差はどうすればいい)
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