「メタファーな解釈も面白い!」ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日 grahamさんの映画レビュー(感想・評価)
メタファーな解釈も面白い!
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映像美や虎とのやり取りなどは、他の方が書かれているので別な視点でレビューします。
虎とパイの話か、それとも最後に明かされた4人の生存者の話のどちらが真実か?という問題ですが、4人の生存者の話を考えてみた場合、シマウマ=仏教徒、オランウータン=母親、ハイエナ=コック、虎=パイになるのですが、虎が最初から登場しておらず、オランウータンが殺された後に登場したこと、また「コックの邪悪さが、自分の悪を呼び起こした」という台詞からも、虎はパイの悪の心を表していると思います。
その観点でその後の展開を観ると、
虎に襲われ、見捨てる事も出来たのに虎の命を救い、虎を手なずけ、最後には虎は森の中へと消えていく、という流れは、
自分の犯した罪に苛まれ、邪悪を否定し捨て去ろうとするが、今生きているのはその邪悪さのおかげだということから、捨て去る事が出来ず、自分の悪をコントロールし、共存することを選び、最後にはあるべき所へと帰っていくという風にも解釈できます。
トラと漂流した227日間は、自分の悪、煩悩、汚れとの対決を描いた実に哲学的、宗教的な映画としても観る事が出来ます。
主人公の神、宗教との関わり、原作者の経歴や専攻を考えると、この解釈もありではないでしょうか?
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