おおかみこどもの雨と雪のレビュー・感想・評価
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母子愛
父親を失いながらも健気に2人の子供を育て上げる決意をした花。勝手気ままに狼に変身してしまう幼子は都会で育てるには苦難の続出。そこで都会の喧騒から離れ、田舎で暮らし始めることにした親子3人・・・
病気だとか人種差別の要素をメッセージとして訴えてくるものかと期待したが、そんな要素はなく、ただまったくのファンタジーで母子愛に満ちた作品だった。そして子供たちの自立。姉の雪は人間として生きて行こうと決意するが、ひ弱だった弟雨はオオカミとして森で暮らすことを決意するというストーリー。
田舎の暮らしは宮崎アニメ『となりのトトロ』、森の中の風景は『もののけ姫』を彷彿させるが、ノスタルジックなイメージよりはむしろ疾走感。特に水の中を走る抜ける様子なんてのは3D作品以上に映像にのめり込んでしまう工夫がされていた。家の中の映像でもパンを多用して実写映画のような錯覚をしてしまうほどよく出来た映像だ。
複雑な気分になる
野暮だが。
包まれたような気持ちになる
2012年07月劇場鑑賞
「時かけ」「サマウォ」とは作風を変えてきているので、少し面食らった人もいたと思います。
自分は前情報も無く観に行った事もあってか、特に抵抗も無くすっと入れました。
本作は親子の愛をとても丁寧に描いていて、特に「母」の強さを感じました。
冒頭の風にそよぐ描写がとてもきれいで、全体を通しても画面の美しさが素晴らしかったです。
音楽も良かったですね。
場面場面を盛り上げるでは無く、映像に寄り添うような、風が通っていく感じ。
キャスティングもとても合っていて、特に幼少期の雪と雨が本当にうまい。
そして、何度も心に触れてくる演出があり、その度に涙が溢れてきます。
キービジュアルを見ると「お母さんが頑張る話」と思いがちですが、むしろ「それぞれの自立の話」でした。
母と子の両方の視点がちゃんとあって、それぞれの苦しみや悩みがよく描かれていたと思います。
雪は愛する人達とともに人間として生きる事を決め、雨は山を守るべくおおかみとして生きる事を決める。そして花は子が選んだ道をちゃんと笑顔で見守ると決める。
それぞれが離れて暮らしていても、皆が家族をちゃんと大事に思っていいる。
何だか毛布に包まれたような気持ちになる、そんな暖かい作品でした。
人間の上澄みだけを掬ったような映画
「母親奮闘記」の映画。良い作品です
観てきました、細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」。
今日上映開始だったんだけど、こういう楽しみにしてる映画は初日に観るようにしてるのです。
左の写真は映画館で撮ったポスター。
これはキャラデザインの貞本義行さんのサインかな?絵も描いてあるし。貞本さんはご存知エヴァンゲリオンのキャラデザインでも知られてる方です。キャラ観ればすぐにわかると思うけど。
そういえば、この映画のトレーラーで、ついにエヴァの新劇場版「Q」の予告があったのは驚き!!やっと上映されるのね。今年の11月17日らしい。これはこれで、今から楽しみが増えた!!
閑話休題。。
この映画、どういうストーリーなんだろう?って思ってたんだけど、お話の中心は「お母さん」だったのね。ポスターもそういう絵だもんね。映画観終わって、すごく腑に落ちた。タイトルはこどもたちだけど、母親奮闘記です、ひとことで言うと。
ここから先はネタばれもあるので、まだ観てない方はご注意を。。
お母さんの「はな」は、様々な苦労もモノともせず、とにかく頑張り続ける。笑顔で。だからこそ、物語のラストはこどもの2人が「自立」したところで終わったんだろう。映画のエンドロールで流れてた曲の歌詞もそういう内容だった。母について。作詞は細田監督だったので、やはりこの映画は「母親」について語りたかったんだろうな、ってよくわかった。
そういう話である以上、父親役は必要無い。
なので、すっごく唐突にオオカミである旦那さんが死んでしまう。ここがこの話の一番腑に落ちなかったところ。都会とは言え、成犬となったオオカミが死んでしまうような危険がどこにあると言うのだろう??まだ、田舎で間違えて銃で撃たれたとか、崖から落ちた、という設定の方がわかる。あまりにあっけなさすぎる。。車にでも引かれた、って設定だったのか?うーーむ。。。。
けど、それ以外は納得いくストーリーだった。
印象的だったのがタイトルの「雨」と「雪」のシーン。
「雨」は弟、「雪」は姉の名前なんだけど、この作品では「雨」が降るシーンと「雪」が降る(降った)シーンがすごく印象的だった。特に「雨」の方が。
作品観ててずっと不思議だった。
「雪」の方がお姉ちゃんなんだから、タイトルは「おおかみこどもの雪と雨」で良かったはず。しかし、この作品は弟である「雨」の旅立ちの話でもある。きっかけになる、先生であるきつねの死も雨の日だったし、最後の旅立ちも雨の日。思えば、お父さんが死んだ日も雨の日だった。
「雨」のシーンは、弟である「雨」の心象風景も現していたんじゃないだろうか?
だからこそ、旅立ちを決意した瞬間、空は晴れ、鮮やかな朝日が差し込むシーンにつながった。
なので、タイトルは「おおかみこどもの雨と雪」なんだな、って観終わってわかった気がした。まぁ、深読みし過ぎかもしれんけど(笑)
「雨」はオオカミとして生きて行く道を選び、「雪」は人間として生きて行く道を選んだ。おそらくその後の人生は「雪」の方が苦労するんだろうけど、そこまで描く必要ない。こどもたちが自分の道を選んだ時点で母親としての役割は終わる。だから、そこで物語も終わる。
良い終わり方。納得です。
にしても、都会のシーンは印象悪かったなー(笑)良いところが全然無かった。「はな」と旦那さんが巡り会えたってことくらいか。隣人は最悪だわ、行政はヒドいわ、公園行ってものんびり散歩も出来ないわ。まぁ、オオカミって設定だから仕方無いんだけど。そういえば、あの公園、井の頭公園だったな。。
あと印象的なシーンが、オオカミになった「雨」と「雪」の視点で滑走するシーン。
自転車好きでいつも乗ってる自分としては、この視点、スピード感は、「自転車からの視点」にすごく似てた。それがすごく心地良かった。
細田監督の映画作品は「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」「時をかける少女」「サマーウォーズ」と全部観てるんだけど、今回の作品が一番良かった。
オススメです!ぜひ劇場へ観に行ってください。
あの大自然のシーンは大画面で観た方がより心に沁みると思うので。
辟易する子供の駄々
細田守の子供が駄々をこねる描写が厭わしい。
ミライを見て、この映画を見て、それを思った。
自立心の芽生えを描く話も、着地点も見事だと思う。
ただ、ごねる描写に、ほとほと辟易する。
意図せずして、観衆にとって、もっとも煩わしい敵──といえるモノが、子供の駄々になっている。
作意を酌むなら、子供の駄々は、大人である観衆が、目を細めて「かわいいねえ」と是認する場面であろう──はずである。とうぜん、そう見る人もいるに違いない。
ところが、作画に、そこまでのアドラブルがないとき、とりわけ巨大な口をもつミライのくんちゃんなんて、ほとんど張り倒したくなってくる。
ただ、問題は、かわいくないことに因っているのではなく、駄々描写のしつこさに因っている。駄々をこねるシーンが、どう考えても多すぎる。
この映画でも、子供は家じゅうを壊しまくる暴れん坊である。少し視点をズラせば、テロリストである。
日常生活において、そういう気苦労を、さんざっぱら背負っている親が、話を書いている──のではあろうが、子育てとは、特殊性のない、人類のいとなみであって、そんなことを自任されてしまうのは、やや疲れる。
子供たちの横暴は、その自立を描くための強調だとは思う。身勝手を収めて、一歩成長する譚へ昇華するために、わざと駄々をキツめに表現している──とは思う。
しかしそれにしても、うるさい。
すなわち、そこまで子供の駄々を強めなくとも、監督の主題は伝わるだろう──という気がしてしまう。
リリカルや純情へ落とさなければ、落とさないほど、すっきりする。そのことが、時かけやサマーウォーズで立証されている──と個人的には思う。
また、子供の横暴が過ぎるとの感想を持ったばあいに「それは子供を育てた経験がないからだ」と、自省しなければならない気配を持っている映画は、やや疲れる──のである。
加えて俳優の声優使いに疑問が残る。
この映画は、海外では、もののけ姫やハウルに並ぶ称賛にあるのだが、その理由はよく解る。
子が親を離れる、親が子を離れる、そこを目指して、ぴったりそこへ着地するシナリオは見事というほかないし、雪原を滑り落ちるシーンの昂揚はアニメを逸脱する映画的ダイナミズムにあふれている。
だが、細田守は、宮崎駿よりも、安直な理念で、俳優の声優使いをしている──と思う。もののけ姫の田中裕子や美輪明宏や小林薫には魂があった。
反して細田アニメは、どれも、もっと巧い声優がいるでしょうに──の印象を拭えない。海外での高評価はそれを裏付けている──ような気がした。
現実味が薄い
個人的にはあまり納得できないアニメ映画だった。
さまざまな困難に立ち向かい力強く生きる女性が描かれているが絶望したりどん底まで落ちた時の描写が少な過ぎる。またいつも笑ってすぐ切り替えられる人間なんてそういない。簡単に自分の人生を他人に捧げられるのも疑問。
時代背景を踏襲して伝えたいことはなんとなく伝わるが漠然としていてモヤモヤ感が否めなかった。
ところどころ泣けるシーンがあるのはいい。親の立場を経験してる人は感じ方が違うかも。
人それぞれいろんな生き方があること、強い女性の世の中を予感させる時代背景、親の知らない間の子供の著しい成長、近年の人同士のつながりの薄まりに対する警鐘など普段考えないことを考えさせられる映画だった。
母親の強さ、優しさ そして巣立つ
【子供を育てる大変さと、楽しさ。親離れしていく姿を”おおかみこども”という魅力的な設定で描いた素晴らしき作品】
花と”彼”が花の通う大学で出会い、徐々に惹かれていくシーンから物語は始まる。
花が”彼”の本来の姿(ニホンオオカミの末裔で、オオカミとヒトが混ざり合い、その血を受け継ぐ最後の存在)に気付いても、”彼”をひたすらに愛し、二人の子供、”雪”と”雨”を授かる。
が、ある日、”彼”が突然亡くなってしまい、3人は山奥にある地区100年の古民家で暮らし始める。
貧乏だが、楽しい3人の暮し。韮崎を始めとする里の人々も花に畑の指導をしたり、様々な支援をする。
段々、成長していく快活な女の子”雪”と内気な男の子”雨”
中でも”雨”は徐々に精悍な少年になり、学校に行くより自然の中で過ごすことを好むようになり・・。
<鑑賞中、幼かった子供たちが日々、成長していく姿が、”雪”と”雨”の姿とダブって見えてしまい、懐かしくも嬉しい気持ちと少し寂しい気持ちが綯い交ぜになった思い出深い作品。>
<2012年8月16日 劇場にて鑑賞>
本当に未来のミライと同じ作者なの?って疑う作品、泣けるし、作り込ま...
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