おおかみこどもの雨と雪のレビュー・感想・評価
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辟易する子供の駄々
細田守の子供が駄々をこねる描写が厭わしい。
ミライを見て、この映画を見て、それを思った。
自立心の芽生えを描く話も、着地点も見事だと思う。
ただ、ごねる描写に、ほとほと辟易する。
意図せずして、観衆にとって、もっとも煩わしい敵──といえるモノが、子供の駄々になっている。
作意を酌むなら、子供の駄々は、大人である観衆が、目を細めて「かわいいねえ」と是認する場面であろう──はずである。とうぜん、そう見る人もいるに違いない。
ところが、作画に、そこまでのアドラブルがないとき、とりわけ巨大な口をもつミライのくんちゃんなんて、ほとんど張り倒したくなってくる。
ただ、問題は、かわいくないことに因っているのではなく、駄々描写のしつこさに因っている。駄々をこねるシーンが、どう考えても多すぎる。
この映画でも、子供は家じゅうを壊しまくる暴れん坊である。少し視点をズラせば、テロリストである。
日常生活において、そういう気苦労を、さんざっぱら背負っている親が、話を書いている──のではあろうが、子育てとは、特殊性のない、人類のいとなみであって、そんなことを自任されてしまうのは、やや疲れる。
子供たちの横暴は、その自立を描くための強調だとは思う。身勝手を収めて、一歩成長する譚へ昇華するために、わざと駄々をキツめに表現している──とは思う。
しかしそれにしても、うるさい。
すなわち、そこまで子供の駄々を強めなくとも、監督の主題は伝わるだろう──という気がしてしまう。
リリカルや純情へ落とさなければ、落とさないほど、すっきりする。そのことが、時かけやサマーウォーズで立証されている──と個人的には思う。
また、子供の横暴が過ぎるとの感想を持ったばあいに「それは子供を育てた経験がないからだ」と、自省しなければならない気配を持っている映画は、やや疲れる──のである。
加えて俳優の声優使いに疑問が残る。
この映画は、海外では、もののけ姫やハウルに並ぶ称賛にあるのだが、その理由はよく解る。
子が親を離れる、親が子を離れる、そこを目指して、ぴったりそこへ着地するシナリオは見事というほかないし、雪原を滑り落ちるシーンの昂揚はアニメを逸脱する映画的ダイナミズムにあふれている。
だが、細田守は、宮崎駿よりも、安直な理念で、俳優の声優使いをしている──と思う。もののけ姫の田中裕子や美輪明宏や小林薫には魂があった。
反して細田アニメは、どれも、もっと巧い声優がいるでしょうに──の印象を拭えない。海外での高評価はそれを裏付けている──ような気がした。
現実味が薄い
個人的にはあまり納得できないアニメ映画だった。
さまざまな困難に立ち向かい力強く生きる女性が描かれているが絶望したりどん底まで落ちた時の描写が少な過ぎる。またいつも笑ってすぐ切り替えられる人間なんてそういない。簡単に自分の人生を他人に捧げられるのも疑問。
時代背景を踏襲して伝えたいことはなんとなく伝わるが漠然としていてモヤモヤ感が否めなかった。
ところどころ泣けるシーンがあるのはいい。親の立場を経験してる人は感じ方が違うかも。
人それぞれいろんな生き方があること、強い女性の世の中を予感させる時代背景、親の知らない間の子供の著しい成長、近年の人同士のつながりの薄まりに対する警鐘など普段考えないことを考えさせられる映画だった。
母親の強さ、優しさ そして巣立つ
【子供を育てる大変さと、楽しさ。親離れしていく姿を”おおかみこども”という魅力的な設定で描いた素晴らしき作品】
花と”彼”が花の通う大学で出会い、徐々に惹かれていくシーンから物語は始まる。
花が”彼”の本来の姿(ニホンオオカミの末裔で、オオカミとヒトが混ざり合い、その血を受け継ぐ最後の存在)に気付いても、”彼”をひたすらに愛し、二人の子供、”雪”と”雨”を授かる。
が、ある日、”彼”が突然亡くなってしまい、3人は山奥にある地区100年の古民家で暮らし始める。
貧乏だが、楽しい3人の暮し。韮崎を始めとする里の人々も花に畑の指導をしたり、様々な支援をする。
段々、成長していく快活な女の子”雪”と内気な男の子”雨”
中でも”雨”は徐々に精悍な少年になり、学校に行くより自然の中で過ごすことを好むようになり・・。
<鑑賞中、幼かった子供たちが日々、成長していく姿が、”雪”と”雨”の姿とダブって見えてしまい、懐かしくも嬉しい気持ちと少し寂しい気持ちが綯い交ぜになった思い出深い作品。>
<2012年8月16日 劇場にて鑑賞>
本当に未来のミライと同じ作者なの?って疑う作品、泣けるし、作り込ま...
要するによく考えたらお父さんって要らないよね?という話
『サマーウォーズ』の次にこれを作るというのは相当な冒険だったと思います。これといって何にも起こらないので。異形の者が異形であることを隠してひっそり慎ましく暮らす、それだけ。去年の『コクリコ坂から』と同じくらいに静か。それでもここまで重厚で印象的なのは『コクリコ〜』が青春と恋愛を真正面から描きながらまるっきり空虚だったのに対して、こっちはそこから先に横たわる厳しい現実と母性との静かで終わりのない戦いに満ちているという違いかと。
これはお母さん必見映画であると同時にお父さんには物凄くヘビーなお話、平たく言うと「お父さん、要りません」ってことですから。それは我々お父さんが必死で隠蔽してきた事ですが何も今バラさなくても・・・と戦慄しました。
提案している哲学がたくさん
心に残る作品でした
シングルマザーの大変さ
優しく強い「別れ」の物語。
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