アーティストのレビュー・感想・評価
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「映画史をあなたに!」
この映画は「映画史に残る名作をあなたに!」との宣伝文句だが、
ノン!ノン!
正しくは「映画史をあなたに!」だ。
基本無声映画のフォーマットを通底させつつも、トーキーが隆盛する予兆を主人公をトーキーで示したり、主人公がパラノイア入って幻覚を観るときにCGを使うなど、これ一つで映画の歴史を丸っと凝縮して観ることが出来る。
かつ基本無声映画で展開していくストーリーでも、現代人の我々が観ても全く違和感なく享受できる。
それは映画の本質とは何たるかってのを教えてくれるということだ!
現代の言葉による説明過多な映画でなく、ミニマルな情報で豊潤なこれだけ映画は出来ることを証明した一作!
娯楽の大爆発
“映画そのもの”が主役!!の珠玉作!!!!
映画に携わる事の素晴らしさ、美しさ、そして厳しさが きらびやかに描かれる。ただ ひたすらに“最新”を追い求める手法を良しとせず、映画が永年 培って来た あらゆる技を駆使。その結果、有声無声を縦横無尽に駆け巡る事となる(基本は silent )。
時代の波に激しく翻弄された(そして溺れ続け、どんどん しみったれて行く)無声映画時代の花形俳優と、その明るく真っ直ぐな魅力で次々に成功を掴んで行く若手女優。二人の明らかな対比が、殺那くも華やかな米映画業界の過酷さを掬い取る。
その実、映画が持つ娯楽性、大衆性も兼ね備えている……、どころか爆発してるのだから恐ろしい。
今作で映画と言う名の芸術が大々的に reset され、また reload された。映画人の今後の動向から目が離せない…!!!!
アーティスト 感想
サイレント映画であって音がない割には分かりやすい内容になっていて、面白い。時代背景も近いのか、『雨に唄えば』を強く意識している映画に思える。最後のタップダンスなんて完全に『雨に唄えば』。サイレントだからこそこのシーンではこんな台詞を言っているのかな?という風に考えられるから楽しい。そして、今まで聞こえなかった分ラストシーンで一瞬だけ聞こえる主人公の声。これがとても良い!なんだか泣きそうになった(笑)
すごく良かった!
最初は不倫ものか⁇と思いきや、めちゃくちゃ素敵な純愛だった。
奥さんが「出て行って」って手紙に書くシーン、今までも自分の稼ぎじゃないのに夫を出て行かせるっていう衝撃の展開だったなー。日本の主婦にはたぶん言えない。海外ならではって感じ。
で、このくだりがあってこそ純愛が成り立つんだよね。
あと、クリフトンが言う "Beware of your pride, if I may say so sir." は沁みたなぁ。なかなか思っても言えないけど、でも本当その通りなんだよね。過去の栄光から脱却するのって本当に難しい。しかも、全盛期だった頃に自分が育て上げた人のお世話になるなんて、そうそうできるもんじゃない。そこを乗り越えちゃうとまた新たなステージに行けたりするんだな。
最後、声が入る演出もすごくいいなって思った。監督が「もう一回」って言ったのは、ただ単に二人のダンスをもう一回見たかっただけ?と思って微笑ましかった。
見終わったとき自然に笑顔がこぼれる作品だった。
人生って素晴らしい!
サイレント映画見たのは20年近く前に見た映画以来でした。
劇中でオーバーアクションと言われているジョージの手ぶり身振り、表情すべてが新鮮でした。
サイレント映画において圧倒的なスターとして、作品の中でもその存在感を示し続けるジョージ、時代の流れについていけず自らの栄光に縋り、落ちて行く様は哀しみを感じざるを得なかったです。
その中で自らを『アーティスト』と称して孤軍奮闘する姿もとても印象的。
これ以上にない、好対照で現れたペピー。めちゃめちゃ可愛かったです!ジョージが落ちてゆくのと好対照に登って行く。旧態依然とした体制を新たな勢力が撃ち落として行くそのコントラストのついた流れが、栄枯盛衰の刹那感を思わざるを得ないし、その相手がこんなキュートな女性というのも皮肉なコントラスト感じます。
没落したジョージが、その誇りを失わない様に、何ヶ月も給料を払っていない運転手を解雇して車をあげてしまう。でも翌日の朝、気になって窓の外を見るシーンの哀愁、そのあとに自らの映像を見ながら奮起できないプライドの高さ。そして…。
スターの没落なんてたくさんあるんでしょうけど、具体的にこんな感じか…と息を飲む感じを覚えました。
そして、それを影ながらささえつつ、最後はすくってくれたペピー。素敵すぎます。
人生は辛いことがたくさんある。でも人生は悪くない。そんなことを思わせる映画でした。
への字
私は映画をそこまで深く見ていない。しかしそんな私でもこの作品の美術と演出の見事さはわかった。中でも白黒であるからか影の使い方が美しかったと思う。
ジョージとペピーは笑顔が印象的だ。特にジョージの「への字」眉の笑顔はサイレントにあって人気スターの風格と人懐っこさが伝わってきた。
だからこそトーキーが時代を席巻しジョージから笑顔が消えた辺りで話にグっと引き込まれた。
正直、中盤の少し前辺りで私は見る意欲を失い掛けていた。
サイレント映画を見るのは初めてである。映像と音楽でストーリーを汲み取る力が不足していたのもその理由の一つだろう。
だが私は、人がもう一度立ち上がろうとする映画が好きだ。
ジョージが誇りを捨ててもう一度這い上がろうとする様を気付けば集中してみていた。
人は立ち上がろうとする時一人では難しい。必ず傍らにもう一人誰かに居てほしい。
そしてその誰かはその人の生き方に共鳴して寄り添ってくれるのだ。
即ちに如何に生きるかによって如何に立ち上がれるかに繋がるというこだろう。
しかしジョージは幸せだ。
倒れた時に寄り添ってくれるもう1匹がいたのだから。
ジャック。正に名演。
ジャック無しにはこの映画は成り立たなかったと言っても言い過ぎじゃないだろう。
サイレントの入り口として
サイレントはずっと疎遠だったけれど、それが最新作コーナーにあったことと、ノミネートということから借りてみた。
初めは何が起きているのか読み取れず入り込めなかったけれど、空白を読むような感覚なのか、話に入っていってた。そこから、ジョージ役のジャン・デュジャルダンの笑顔がモノクロに輝いていて、だんだんと画面から目が離せなくなってしまった。
役者の表情仕草でだけこんなにも物語が拾えるのかと驚くばかり
ジョージがこれから役者として映画でどう表現していくのか、トーキーとどう関わるのかハラハラしてた。
そして今だからこそのサイレントの中の音の入り方に衝撃。
初体験だからこそかいろんな事を考えさせられた。
それまでサイレント、トーキー、カラー、3Dへ発展という認識をどこか考えていたのかも。使われなくなったサイレントだけれども、今でも好奇心をくすぐる表現方法なのだと感じてこれからのサイレントにわくわく!
穏やかに楽しめる映画
初めての無声映画だったのでお菓子を食べながらなど、ながら見ができませんでした。ストーリーを追う為に画面にずっと釘付けになっていました。効果音、セリフがないのにここまで感情移入出来るものなのかと新しい発見をした気分です。主人公のジョージが仕事で失敗し堕落していく様とペピーの売れっ子になってスターへの階段を上っていく対称的な様子は痛々しく、鮮烈でした。主演二人の演技がとにかくうまい!最初ペピーが研ナオコに見えていたのですが、段々可愛いペピー、愉快なペピーのキャッチコピーそのままに見えてきました。
サイレント版スター誕生!
映画への愛は随所にあふれていると思うがそれだけ。アカデミー賞作品賞受賞なのでプラスαの魅力があるかと思ったが、犬の名演技くらい??? 期待していただけにちょっとがっかり。まぁ、今の時代の空気に合ったということとフランス人が作ったことが高評価なのかなとは思うけど・・・ 時代に乗り遅れている自分としては、あまりいい気分ではないし、取り残された気分が残った。映画を観る前から、「スター誕生」との類似点を感じていて、こちらはまぁハッピーエンドなのかもしれないが、すっきりまではいけない。憐れみはいらないが、過去に浸ってもいけないね。
幸せな気分になる
演出も俳優さんもとても素敵だった。
最初はやっぱり声がないってしんどいなって思ったんだけど、すぐ気にならなくなった。
そして主役のジョージがすごく素敵!
なるほど、パンフレットにあったとおり落ちぶれてもチャーミング。
仕事にプライド持ってて、優しくて、陽気で、品がある。
相手役のペピーも、最初は可愛いというにはちょっと濃い顔だなって感じだったんだけど、見てると本当に”可愛いペピー”っていうのがぴったりくる。
特に最初の頃の衣装とか動きが可愛い。
すごい!感動!衝撃!大作!って感じの映画じゃないけど、ホワンとハッピーな気持ちになれる良い映画だった
サイレントで語る映画への愛
今年度アカデミー賞作品賞受賞作である。全編モノクロでほとんどサイレントで構成されていることが話題となったが、実際の出来はどうだったのか。先に言ってしまおう。文句なしに最高だ。
まず俳優陣の演技が見事だ。どんな脇役でもまさにイメージ通りなのだが、ジョージ・バレンタイン役のデュジャルダンが誰よりも素晴らしい。登場したそのときから往年のハリウッドスターらしく、いかにも「スター」然としている。燕尾服を誰よりも完璧に着こなし、その笑顔は自信に満ちあふれている。デュジャルダン以外の40代にこの役をやらせても、まったくフィットしないだろう。善良そうでありながら、プライドは人一倍高く、最高に笑えるのにどこか哀愁が漂う。なかなか演じきれる物ではない。しかも今回はほとんどサイレントと来たものだ。観客は演技だけを見るから普段よりも高い能力を要求されるのに、それをそつなくこなしている。象徴的なのは彼が見せる「笑顔」だろう。スターだった頃の彼が見せる喜びの「笑顔」と落ちぶれてしまった後の悲しそうな「笑顔」。まったく同じなのに、見ている観客は彼が何を思っているか一目瞭然。どれほどの演技力か分かるだろう。
そして脚本と演出。ストーリーはサイレント期のハリウッドにオマージュを捧げているためか、至極ストレートに仕上がっている。別にそれが悪いわけではない。むしろそのおかげでこの映画はより心に響くものになったのだ。さらに
一ひねり効いた演出が花を添える。先ほどから「ほとんど」サイレントだと言っているが、実際所々は音が入っているのだ。是非劇場で見て欲しいので直接は言わないが、ほぼ無音であるがために少しでも音が入ると余計にドキッとする。それがそのままジョージ・バレンタインの不安につながっていく。
一つ一つの演出に全く無駄が無く、すべてが意味のあるものなのだ。そして最後にジョージとペピーが見せるダンスシーンは圧巻の出来映えだ。すべての映画に敬意を捧げた最高のハッピーエンドを見たとき、感動があふれ出し心の底から拍手を送りたくなる。
これこそが「映画」なのだ。
(2012年4月29日鑑賞)
名優(犬)アギーは可愛いですが・・・
モノクロ・サイレント現代に融合して良く出来ていると思います。
最近の作り込んだ、笑い・泣きより古き良きに固執した分シンプルだとも
しかし、マギーに頼らないと単純さで爆睡してしまいそうに・・
良作ですが、少々長い気が。。
1時間超えたあたりから
2時間弱の映画なのに飽きてしまうかも
新しい!美しい!素晴らしい!!
吉祥寺バウスシアターで鑑賞しました。
予告編から涙が溢れてしまったくらい、すごく期待していた作品。
そして実際に、期待以上の興奮と感動を得られました!!
サイレント映画をきちんと「現代的に」撮っているなというのがよくわかるし、
その新しい感覚を感じるのがとても面白い。
シンプルで「古き善き」ストーリーなんだけど、
やっぱり最後のシーンで涙がボロボロこぼれてしまいました。
ほんと感動した!
とにかく映画館で、多くの人とこの興奮と感動を共有しながら観てほしい!
映画を観るって幸せだなーって実感できる作品だと思います。
すっきり
正直、
「賞」を取ったので、観に行ったというフトドキモノですが、
モノクロで、字幕もわずかしか流れないこの映画で、
途中からぼろぼろ泣いていました。
やたらと説明が多い映画や、
やたらとどんでん返しが多い映画より、
これくらいシンプルな登場人物の数で、
表情だけで伝わるもののほうが、私はいいなあと思いますね。
全然面白くない
CG全盛のこの時代に無声映画へ逆行。なぜかそれをありがたがって高評価している人が多いが、ぶっちゃけ何も面白くない。
無声モノクロだが裏で妙な音楽が終始鳴っておりキャストは皆ニヤニヤしている(笑)
なにより無声映画がこれほどわかりづらいものとは思わなかった。
これアカデミー賞獲ってなかったら日本公開されてないな。賞とか話題性とか興味ない人が見たら開始5分で寝れる。
いたって普通のサイレント映画?
この時代に、どうしてサイレント?って感じではありますが、映画自体は洋画でも言葉の壁がなく楽しめたし(飛行機の中で見たので)、よかったと思います。ただ、ストーリー的には普通だし、アカデミーで賞取るほどかなーとも思ったりもしました。この時代にあえてモノクロしかもサイレントという部分は評価に値しますし、作品自体のテンポ感とか音楽とかもいいので、良作とは思いますが、期待しすぎると肩すかしをくらうかもしれません。見て損はないと思いますけどね。
ワンちゃんの演技はかわいかったけど
この映画つまらなかったです。
オスカー賞を受賞した本作に、期待しすぎちゃいました。
白黒の無声映画という本作は、カラーのドルビーサウンド、時に3Dの映画という現代の作品と比べると刺激がなく、飽きました。背景の昔風の音楽は五月蝿かった。
チャップリンの「街の灯」とか、本物の無声映画と比べると、感動の度合いが違うというか、だた現在観ることのできる無声映画は、歴史的に残っているものなので、名作しかないから、比較すれば当然見劣りしてしまいますよね。綺麗な画面で、綺麗な動きのこの白黒映画は、昔のサイレントのものと比べると自ずと違いはあるから、まるで偽者の骨董品をみている感じがしていましたよ。
それから、女優と男優との恋を期待していたんですが、ちょっとちがって二人の関係が友愛だったのも、刺激がなかった。ラブロマンスは期待できません。
期待しないで、観ていれば、それなりにいい映画だったかもしれません。最後に、ワンちゃんの演技はかわいかったです。
作品賞?
『アーティスト』演技、衣装、音楽、犬は納得の良い作品でしたが、作品賞は…。趣味趣向の問題なのですが、またアカデミー賞が分からなくなりました(笑)。あ、去年のカンヌもですが(苦笑)。へそ曲りなんでしょうか(汗)。★3.5 http://coco.to/4034
楽しいのは楽しいけど
モノクロで、サイレント映画ということもあって、きっと途中で寝るかなぁと思いましたが、案外おもしろかった。
テンポがとても良かったし、バックミュージックも効果的でした。
ただ、サイレントということで筋が単純すぎるし、オークションのところで、ペピーが車に乗るシーンを割愛すべきだったと思う。
タップのシーンとかすばらしいとは思うけど、なぜアカデミー賞を獲ったかは疑問。「J・エドガー」の方が映画としては上だと思うけど。
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